ガーダントヘルスジャパンは3日、血液検体を用いたリキッドバイオプシー検査「Guardant360 CDx がん遺伝子パネル」について、抗がん剤「エンハーツ」(抗HER2抗体薬物複合体、[ADC])のコンパニオン診断として9月22日に厚労省より承認を取得したと発表した。
診断は、第一三共株が適応追加申請中のHER2陽性の固形がんに対するエンハーツの適応判定を補助するためにERBB2コピー数異常(HER2遺伝子増幅)を検出するもの。
HER2は、ERBB2遺伝子によってコードされるチロシンキナーゼ受容体であり、多くの固形がんの細胞表面に発現するタンパク質だ。HER2タンパク質の過剰発現は、がんの進行や予後不良と関連する可能性がある。このタンパク質の過剰発現を引き起こすメカニズムのひとつにERBB2遺伝子の増幅があり、これは次世代シークエンサーによって検出することができる。
「Guardant360 CDx」は、2022年3月に厚労省より承認された、進行固形がんを対象とする包括的がん遺伝子パネル検査である。がんに関連する74の遺伝子を一度に調べると同時に、国内で承認された複数のがん治療薬に対するコンパニオン診断機能を併せ持つ。
保険診療でがんゲノムプロファイリング検査を実施した症例のうち、国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録された約5万例を対象としてがん種横断的にがんの発生・進行などの直接の原因となるドライバー遺伝子異常を解析したところ、6915症例において7887のコピー数異常が確認された。最も多かったのはERBB2コピー数異常(1639)であった。
現在、国内では、乳がん、胃がん、肺がん、唾液腺がんや大腸がんの治療に抗HER2療法が用いられているが、今後、「Guardant360 CDx」の保険適用手続きを進めることで、より多くの固形がん患者への治療提供につながるものと期待される。
