「Oveporexton」 ナルコレプシータイプ1を対象に厚労省が先駆的医薬品・希少疾病用医薬品指定 武田薬品

 武田薬品は29日、開発中のoveporexton (開発コード:TAK-861)について、ナルコレプシータイプ1(NT1)を効能・効果として厚労省より先駆的医薬品および希少疾病用医薬品に指定されたと発表した。
 先駆的医薬品は、治療薬の画期性、対象疾患の重篤性、対象疾患に係る極めて高い有効性及び世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制の指定要件に合致するものとして、厚生労働大臣が指定するもの。指定を受けると、優先対面助言・審査、コンシェルジュなどの薬事承認に係る相談・審査における優先的な取り扱い、再審査期間の延長などを受けることができる。
 一方の希少疾病用医薬品は、対象患者数が本邦において5万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの指定要件に合致するものとして、厚労大臣が指定するものだ。指定を受けると、助成金の交付、優先対面助言・審査(該当するとされたものに限る)、再審査期間の延長などの支援措置を受けることができる。
 今回の指定は、国際共同P2b試験(TAK-861-2001試験、NCT05687903)の結果に基づくもの。なお、oveporextonは、米国FDAおよび中国国家食品薬品監督管理局より、同国際共同P2b試験のデータに基づき、NT1患者の日中の過度の眠気(excessive daytime sleepiness, EDS)の治療薬としてブレークスルーセラピーに指定されている。
 武田薬品は、世界睡眠学会「World Sleep 2025」においてNT1を対象とする国際共同P3試験であるFirstLight(TAK-861-3001、NCT06470828)およびRadiantLight(TAK-861-3002、NCT06505031)試験の結果を発表しており、2025年度からの世界各国での承認申請に向け順調に進捗している。
 OveporextonのP3床試験プログラムは、NT1を対象とした最大規模で最も包括的な開発プログラムの1つである。これらの試験では、NT1のさまざまな症状だけではなく生活の質も評価する14の主要評価項目および副次評価項目を検討した。
 NT1は、脳内のオレキシンニューロンが減少することで引き起こされる慢性かつまれな神経疾患だ。それにともなう過度の眠気や情動脱力発作などのさまざまな症状により日常生活に支障をきたす。治療薬は存在するが、現在のところ、NT1の原因となるオレキシン欠乏を標的とする治療薬はない。

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