小野薬品は18日、同社完全子会社のデサイフェラ(米国)が研究・開発したキナーゼ阻害剤の腱滑膜巨細胞腫治療薬「ロンビムザ」について、欧州時間9月17日に欧州委員会(EC)が承認したと発表した。
対象は、臨床的に重要な身体機能の低下を伴い、外科的治療による効果が期待できない、または外科的治療により耐え難い病状や障害が生じる可能性のある腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の成人患者。
ECによる承認は、手術が適応とならず、抗CSF1/CSF1R療法の治療歴がないTGCT患者(イマチニブまたはニロチニブによる治療歴は許容)を対象とした、ロンビムザのP3相MOTION試験における有効性および安全性の優れた結果に基づくもの(プラセボとの比較)。
また、P1/2試験の結果も承認の根拠となっている。主要評価項目では、25週時点でロンビムザ群がプラセボ群と比較して、可動域、患者報告による身体機能および疼痛において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が認められた。
副次評価項目でも、25週時点でプラセボ群と比較して、腫瘍体積スコア(TVS)による客観的奏効率(ORR)、可動域(ROM)、身体機能、こわばり、生活の質(QOL)、疼痛の6つの主要な副次評価項目すべてにおいて、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示され。
97週時点の記述的解析では、ロンビムザ群に割り付けられた患者の23%(n=19/83)がRECIST v1.1基準に基づく完全奏効(CR)を達成しており、中央値は11.5ヶ月であった(盲検下の独立放射線学的評価IRRによる判定)。 ロンビムザの安全性プロファイルは管理可能であり、P1/2相試験でこれまでに報告された結果と一貫している。
◆宇田川良太デサイフェラ社長のコメント
ロンビムザがTGCT治療薬としてECに承認されたことは当社の成長にとって重要な節目となるものである。欧州のTGCT患者さんにとって手術以外で負担の少ない治療法は待ち望まれており、当社のグローバルな事業基盤を活かし、vimseltinibを欧州の患者さんにいち早くお届けできることを大変嬉しく思う。
今後も各国の保健当局と連携し、vimseltinibの恩恵を受けられるすべての患者さんが、速やかに治療を受けられるよう尽力したい。
◆Jean-Yves Blay Leon Berard Center病院長(M.D., Ph.D.)のコメント
ロンビムザが欧州でTGCTに対して初めて承認された治療薬となったことは、TGCTコミュニティにとって非常に喜ばしいニュースである。TGCTは、痛みやこわばり、可動域の制限などにより、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼす。ロンビムザは、これまで十分に満たされていなかった患者さんのニーズに応えつつ、良好な安全性を示した新しい治療選択肢である。
◆滝野十一小野薬品代表取締役社長のコメント
今回、ロンビムザが欧州で承認されたことを大変嬉しく思う。我々のめざす世界の患者さんに貢献するグローバルスペシャリティファーマとしての目標実現にまた一歩近づくことができた。
ロンビムザの承認は、治療薬のなかった欧州のTGCT患者さんへ新たな治療選択肢を提供するものであり、当社の企業理念を具現化するものである。今後も、革新的な医薬品の開発と提供に努め、世界中の患者さんに貢献していきたい。