塩野義製薬は3日、新型コロナ経口治療薬「ゾコーバ」について、COVID-19の曝露後予防を適応症に米国FDAが新薬承認申請を受理したと発表した。
同社米国グループ会社のShionogi Inc.(ニュージャージー州)がFDAに新薬承認申請を行い、受理されたもの。FDAは、審査終了目標日(PDUFA date)を 2026年6月16日としている。
曝露後予防とは、新型コロナウイルス感染者との接触などウイルスに感染した可能性が生じた際に、発症前に治療薬を投与することで感染症の発症を防ぐ治療行為を意味する。
ゾコーバの新薬承認申請は、グローバルP3曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)の良好な結果に基づいている。今回のCOVID-19の曝露後予防の適応での申請が承認されれば、エンシトレルビルは曝露後予防での初めてかつ唯一の経口抗ウイルス薬になる。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は依然として高い感染力を持ち、感染者と同居する人の最大約半数がCOVID-19に罹患する可能性がある。このウイルスは常に変異を繰り返しており、新たな症状も報告されている。
COVID-19は、生活の質を著しく低下させ、仕事への影響、罹患後症状、そして重症化を引き起こすリスクも存在する。軽症であっても、既存の慢性疾患が悪化するケースも見られる。
COVID-19による深刻で長期間にわたる罹患後症状を防ぐには、ウイルスの複製を阻害し、感染の成立を阻止することが最も重要だ。現在、SARS-CoV-2感染者への曝露後のCOVID-19予防を適応とした承認済の経口抗ウイルス薬は存在しない。
ワクチン接種はCOVID-19の曝露前に接種されるものであり、ウイルスの複製を阻害するものではない。他の抗ウイルス薬は、曝露後にCOVID-19と診断された後に投与されるもので、既にウイルスの複製が進行し、疾患として確立された段階で使用される。
なお、同件が2026年3月期の連結業績に与える影響は軽微である。
◆Nathan McCutcheon Shionogi Inc.社長(MBA)のコメント
SHIONOGIは、感染症の治療と予防において長年にわたりイノベーションを創出してきた。この分野への我々の取り組みは、新規抗菌薬やHIV/AIDS、インフルエンザ、COVID-19などに対する抗ウイルス薬の開発において重要なブレークスルーを達成してきた。
ゾコーバは、米国において曝露後予防で使用できる初めてかつ唯一の経口抗ウイルス薬になることが期待される。