カルケンス錠 マントル細胞リンパ腫治療薬として承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは25日、「カルケンス錠」について、マントル細胞リンパ腫を効能・効果として、同日、厚労省より承認取得したと発表した。
 厚労省による同承認は、国際共同P3試験(ECHO試験)結果等に基づくもの。ECHO試験は、65歳以上の未治療マントル細胞リンパ腫(MCL)患者を対象に、カルケンスとベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法群と、標準治療である免疫化学療法群を比較したもので、カルケンス群において病勢進行または死亡のリスクが 27%低減された(ハザード比[HR]0.73;95%信頼区間[CI]0.57~0.94;p=0.016)。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、免疫化学療法単独群では 49.6 カ月であったのに対し、カルケンス併用療法群では 66.4カ月であった。
 また、再発または難治性のMCLに対しては、海外P2相非盲検単群臨床試験であるACE-LY-004試験、および国内P1試験(D8220C00001 試験 2)の結果に基づいている。
 ACE-LY-004 試験では、標準的な免疫化学療法後に再発または難治性を示したMCL患者において、独立中央審査委員会(IRC)による判定で、カルケンス単剤療法により、全奏効率(ORR)81.5%(95% CI: 73.5~87.9)および完全奏効(CR)率 47.6%(95% CI: 38.5~56.7)が示された。
 また、日本人の進行期B細胞性腫瘍の成人患者を対象としたD8220C00001試験では、カルケンス単剤療法によりMCLコホートでORR61.5%(95% CI: 31.6~86.1)が示された。
 MCLは非ホジキンリンパ腫の一種で、2023年の日本での患者数は約2,000 人と報告されており、悪性リンパ腫の3%程度を占めている。
 発症年齢中央値は60歳代半ばで、男性に多く、約90%は初発診断時にステージⅢまたはⅣの進行期にあると言われている。

◆大津智子アストラゼネカの取締役研究開発本部長のコメント
 MCLの臨床経過は多様であるが、強力な化学療法、または強力な化学療法を伴う自家造血幹細胞移植に耐える体力がない高齢なMCL患者さんでは、依然として標準治療の免疫化学療法による長期予後は不良であり、一次治療の有効性を改善する新たな治療選択肢が求められてきた。
 カルケンスとの併用療法は、ピボタル試験であるP3相ECHO試験で一貫した安全性プロファイルを示すとともに、無増悪生存期間の有意な延長を示した。
 本承認は、MCL患者さんに新しい治療選択肢を提供するとともに、B細胞性悪性腫瘍の治療におけるカルケンスの重要性をさらに強調するものである

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