高齢者施設向けAI画像診断と迅速血液検査導入で検査から入院まで最短60分実現 AIプラスクリニックたまプラーザ

 AIプラスクリニックたまプラーザ(横浜市青葉区)は、高齢者施設向けに開発した「ワンストップ検査・即日診断システム」を8月1日から横浜市青葉区や川崎市の医療・介護施設に本格展開する。同システムは地域包括ケアシステムの進化形として注目される。高齢化が進む中、施設入居者や在宅患者の医療アクセス改善は喫緊の課題となっている。
 ワンストップ検査・即日診断システムは、AI画像診断と迅速血液検査を組み合わせたもの。従来1週間以上かかっていた検査から入院手続きまでのプロセスを最短60分に短縮する。昨年から横浜市内の高齢者施設3カ所とメディカルクリニックあざみ野の在宅患者約50人を対象に試験運用を実施。直接大病院に受診させた方が良いか迷う疾患について、入院が必要とした場合、診断から入院まで平均2.3時間と従来比85%の時間短縮を実現した。迅速診断の結果、入院を必要としない場合には、高齢者施設で安心して治療継続できる。

 利用者満足度調査では、患者・家族・施設スタッフの大部分が「大変満足」と回答。大病院の待ち時間が極端に長い中、AIプラスクリニックたまプラーザでは到着後すぐに検査が行われ、結果がすぐ判明するため施設としても利用しやすいとの意見が多数を占める。
 システムの特徴は、3段階のプロセスにある。まずAI画像診断装置と迅速血液検査で初期評価を実施。続いて専門医が診断を確定し、患者の年齢や基礎疾患、重症度に応じて最適な医療機関をAIが選定する。
 選定された病院には診断データを事前送信し、受け入れ態勢を整備。患者到着後の待ち時間をほぼゼロにしている。
 佐藤靖郎AIプラスクリニックたまプラーザ理事長は、「従来は適切な搬送先の選定に時間を要し、受け入れ調整で患者さんをお待たせすることもあった。このシステムなら根拠に基づいて最適な病院を即座に特定できる」と説明する。
 8月からの広域展開では、横浜市青葉区、川崎市宮前区・多摩区の在宅医療クリニックや高齢者施設が対象となる。利用施設は同クリニックに検査予約を入れるだけで、介護タクシーの手配から検査、診断、病院選定・予約まで一括対応する。
 実証に参加した施設職員は「入居者の検査を待ち時間の少ないクリニックにワンクッションおくことで、どこに受診するかを悩むことがなくなった。家族の安心感も格段に向上している」と評価している。
 佐藤理事長は「AI技術と地域医療機関のネットワークを活用し、誰もが平等に最適な医療を迅速に受けられる環境を構築したい。今後は他地域への展開も検討している」と話す。

タイトルとURLをコピーしました