中外製薬は24日、低・中分子およびバイオ医薬品の製法開発機能の強化と環境対策推進を目的に、浮間事業所(東京都北区)における新たな研究棟(UKX)の建設すると発表した。
同社は、成長戦略TOP I 2030において、R&Dアウトプット倍増、および自社グローバル品毎年上市を目指している。中分子や独自の抗体エンジニアリング技術を活用した抗体など、製造方法(製法)開発の難度が高いプロジェクトが増加し、その成功が鍵を握っている。
こうした中、開発プロジェクトの速やかな臨床試験入りや開発加速を実現するためには、医薬品の製法開発機能の強化・拡充が喫緊課題となっている。
また、当社が掲げる中期環境目標2030において、フロン対応やCO2排出量削減に向けた取り組みを進めることも重要な課題である。これらの課題に対応するため、当社は浮間事業所にUKXの建設を決定した。
UKXは、最新鋭の研究機能の拡充に加え、環境配慮型の建物として設計されており、2022年10月に購入契約を締結した浮間事業所の西側の事業用地に建設される。UKXでは、製法開発に関わる多機能間のコミュニケーションを活性化するオフィス設計を採用し、また、研究効率を高めるラボオートメーションの活用にも取り組む。これにより、イノベーションと研究生産性の向上を促進し、難易度の高まる原薬製法確立までのさらなるスピードアップを実現していく。
なお、津設備投資に伴う、2025年12月期連結業績予想への影響はない。
◆奥田修代表取締役社長CEOのコメント
今回の新研究棟の建設により、成長戦略TOP I 2030のKey Driversの1つであるRED SHIFTの基盤がより強固なものとなる。
創薬研究から連続的に生み出される有望な医薬品候補物質を臨床開発に進めるには、医薬品としての製法を速やかに確立することが必要不可欠だ。特に、創薬研究段階に多数のプロジェクトを有する中分子においては、構造および物性の共通性を活かして効率的に製法を開発できるプラットフォームの構築を進めていく。このような医薬品の製法開発研究の機能強化により、臨床開発での早期の価値証明を実現し、患者さんに革新的な医薬品を一日も早くお届けすることを目指したい。
併せて、浮間事業所の環境対策も加速させる。中期環境目標2030で掲げる高い目標の達成には、特に医薬品の製法開発研究および生産に関わる機能における取り組みが重要である。社会と企業の持続可能な発展に向け、先進的かつ積極的に環境負荷の低減に努めていく。