アステラス製薬は17日、韓国行政機関の中小ベンチャー企業部傘下機関である創業振興院「KISED」と、韓国の創薬スタートアップの発掘、事業拡大およびグローバル展開支援を目的とした「グローバル企業パートナーシッププログラム」の運営に関する基本合意書を締結したと発表した。
同基本合意書に基づき、KISEDは「グローバル企業パートナーシッププログラム」の運営全般、および研究資金の提供を行う。アステラス製薬は、KISEDと共に選出した韓国創薬スタートアップに対し、つくば研究センター敷地内に設立されたSakuLabTM-Tsukuba内の研究スペースおよびオフィススペースの利用権を提供する。
SakuLabTM-Tsukubaに入居した場合、アステラス製薬の各分野の専門家による相談対応の支援に加え、他の入居者やアステラス製薬の研究者とのネットワークを活用することで、創薬研究を加速させることが可能になる。
同プログラムを通じて、韓国の製薬およびバイオテクノロジースタートアップ2社、すなわち、次世代のT細胞免疫療法の開発を専門とするTCUBEiT Inc.およびAAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターエンジニアリング技術に専門性を有するAAVATAR Therapeuticsが選出された。両社はSakuLabTM-Tsukubaへ入居し、研究活動を加速させる。
なお、同件によるアステラス製薬の通期(2026年3月期)連結業績への影響は軽微である。
◆谷口忠明アステラス製薬の研究開発担当CRDOのコメント
KISEDとグローバル企業パートナーシッププログラムの運営に関する基本合意書を締結できたことを大変嬉しく思う。新たな創薬アイデアや技術が次々に生まれる今日、それらを患者さんの「価値」に変えるためには、多様な価値観や専門性が交わり、互いの経験を活かし合うことが重要である。アステラス製薬がこれまで培ってきた知識・ノウハウや海外ネットワークを、イノベーションに挑むスタートアップのニーズに応じて提供し、芽吹いたアイデアや技術を共に育み、花開かせたいと考えている。
今回の基本合意書の締結により、韓国のスタートアップと共に創薬研究がさらに強化、加速し、革新的な医療ソリューションの創出につながることを期待している。
◆Jong-pil Yoo KISED代表のコメント
グローバル製薬企業であるアステラス製薬との今回の戦略的な提携は、バイオ・医薬品分野における有望な韓国スタートアップのグローバル展開を加速させる重要な契機となる。新薬の研究開発には高度な専門性とインフラが求められるなか、アステラス製薬の研究資産やグローバルネットワークをスタートアップが直接活用できる本プログラムは、彼らの成長を大きく後押しするものと期待している。
KISEDは、今後さらにグローバル企業との連携を強化し、韓国スタートアップのグローバル市場における競争力の向上に取り組んでいく。