人免疫グロブリン製剤「ハイキュービア」 多発根神経炎など対象に適応追加承認 武田薬品

 武田薬品は24日、 皮下注用人免疫グロブリン製剤「ハイキュービア」について、多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制に対する適応追加承認を取得したと発表した。
 対象は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)。なお、同剤は、本年6月12日に、「無または低ガンマグロブリン血症」を効能・効果として発売されている。
 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)は、末梢神経系に影響を及ぼす希少で後天的な免疫介在性の脱髄性末梢神経障害である。四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を典型的な特徴とする。
 多巣性運動ニューロパチー(MMN)も、CIDPと同じく末梢神経に障害が生じる疾患である。MMNは、CIDPと異なり、左右非対称の運動障害が主で、感覚が障害されることはないか、障害があっても軽度である。
 同剤は、皮下注用人免疫グロブリン(SCIG)10%製剤1バイアルとボルヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え)(rHuPH20)製剤1バイアルを組み合わせた日本初かつ唯一の皮下注用免疫グロブリン製剤だ。
 rHuPH20を投与し皮下組織の透過性を一時的に高め、その後同じ部位にSCIG10%を投与することで、SCIG10%の拡散と吸収が促進され、大量投与が可能になる。静脈路の確保が不要という皮下投与製剤の特徴に加え、大量投与によりCIDP/MMN患者への投与頻度が従来の皮下注用人免疫グロブリン製剤に比べて少ない3週または4週間隔となり、患者の負担の軽減が期待される。
 今回の適応追加承認は、日本人のCIDP患者およびMMN患者を対象とした国内第P3試験(TAK-771-3002試験NCT05084053)、ならびにCIDP患者を対象とした海外P3試験の2試験(161403試験NCT02549170および161505試験NCT02955355)に基づくもの。
 これらの試験において、同剤は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)に対する治療薬としての有効性、安全性が評価された。

◆廣田直美武田薬品PDTビジネスユニット R&D Japanリージョナルヘッドのコメント
 世界45カ国以上で承認されているハイキュービアが、無また低ガンマグロブリン血症に続き、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)を新たな効能・効果として、承認されたことを嬉しく思う。
 投与頻度が3週または4週間隔となり、CIDP/MMN患者さんの負担軽減が期待できる本剤を日本の患者さんにお届けできることを誇りに思っている。

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