アストラゼネカは12日、カルケンスとベネトクラクスとの固定期間併用療法について、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)成人患者の治療薬として、欧州連合(EU)において承認されたと発表した。
欧州委員会による同承認は、医薬品評価委員会の肯定的な見解に続くもの。同承認は、米国血液学会(ASH)2024年年次総会で発表され、The New England Journal of Medicine誌に掲載されたピボタル試験であるP3相AMPLIFY試験の良好な結果に基づいている。
AMPLIFY試験の結果、3年時点で標準治療である免疫化学療法(治験責任(分担)医師が選択したフルダラビン・シクロホスファミド・リツキシマブまたはベンダムスチン・リツキシマブのいずれか)を受けた患者では67%で病勢進行がみられなかったのに対し、カルケンスとベネトクラクスの併用療法を受けた患者では77%、カルケンスとベネトクラクスおよびオビヌツズマブの併用療法を受けた患者では83%で病勢進行がみられなかった。
無増悪生存期間(PFS)の中央値は、どちらの試験群でも未到達であったが、免疫化学療法群では47.6カ月であった。カルケンスとベネトクラクスの併用療法は、免疫化学療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを35%低減した(ハザード比[HR]0.65;95%信頼区間[CI]0.49~0.87;p=0.0038)。
カルケンスとベネトクラクスおよびオビヌツズマブの併用療法は、免疫化学療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを58%低減した(HR 0.42;CI 0.30~0.59;p <0.0001)。
カルケンスの安全性と忍容性は既知の安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されなかった。AMPLIFY試験結果に基づき、これらのレジメンに関する申請が、現在いくつかの国で審査中である。
されなかった。
CLLは、成人における最も一般的な白血病である。2024年には英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアで推定2万7000人がCLLと診断されている。
◆AMPLIFY試験治験責任医師のBarbara Eichhorst氏(ケルン大学病院、医学博士)のコメント
慢性リンパ性白血病と診断された患者さんにとって、今回の承認は一次治療における新たな選択肢を提供するものであり、継続的な治療で発現する可能性のある長期的な副作用を最小限に抑え、薬剤耐性の低減につながる可能性がある。投与期間を固定したレジメンは患者さんにとって好ましく、治療期間中の服薬遵守の維持にも役立つ。
◆Dave Fredricksonアストラゼネカオンコロジー・ヘマトロジービジネスユニットエグゼクティブ・バイスプレジデントのコメント
本承認により、欧州全域で未治療の慢性リンパ性白血病患者さんに、新たな固定期間療法の選択肢が提供される。カルケンスとベネトクラクスの併用療法は、EUで承認された最初で唯一の第二世代BTK阻害剤との経口併用療法の選択肢であり、患者さんと医師に、この治癒困難な血液がんの管理において柔軟性を提供する。