第一三共は2日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201、抗 HER2 抗 体 薬 物 複 合 体[ ADC] )について、HER2陽性(IHC 3+ または IHC 2+/ISH+)の胃がんまたは胃食道接合部腺がんの二次治療を対象とした グ ロ ー バ ルP3試験(DESTINY-Gastric04)の最新データにおいて好結果を得たと発表した。これらの試験結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で公表された。
DESTINY-Gastric04試験では、HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発胃がんまたは胃食道接合部腺がん患者(494名)において、主要評価項目である全生存期間の中央値は、本剤投与群は14.7ヵ月で、ラムシルマブとパクリタキセル投与群(現在の標準的な二次治療)の11.4ヵ月に対し、死亡リスクを30%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間の中央値においては、本剤投与群は6.7ヵ月で、ラムシルマブとパクリタキセル投与群の5.6ヵ月に対し、病勢進行または死亡リスクを26%低下させた。客観的奏効率は、同剤投与群において44.3%(完全奏効 7名、部分奏効*5 97名)、ラムシルマブとパクリタキセル投与群は29.1%(完全奏効 3名、部分奏効 66名)であった。
奏効期間の中央値は、同剤投与群において7.4ヵ月、ラムシルマブとパクリタキセル投与群では5.3ヵ月で、病勢コントロール率は、それぞれ91.9%、75.9%であった。
安全性では、新たな懸念は認められず、同剤の他の胃がん試験と同様の傾向であった。同剤投与群におけるグレード3以上の薬剤と関連した有害事象として、好中球減少症(28.7%)、貧血(13.9%)、血小板減少症(8.6%)等が認められた。
間質性肺疾患(ILD)については、同剤投与群の13.9%がILD独立判定委員会により本剤と関連のあるILDと判定され、グレード1が7名(2.9%)、グレード2が26名(10.7%)、グレード3が1名(0.4%)であった。
ラムシルマブとパクリタキセル投与群におけるILDは1.3%で認められ、グレード3が2名(0.9%)、グレード5(死亡)が1名(0.4%)であった。
第一三共は、各国・地域における同剤のHER2陽性胃がん二次治療の承認状況を踏まえ、同試験結果に基づき、各規制当局との協議を進めている。
また、同試験および現在進行中のHER2陽性胃がんの一次治療を対象とした臨床試験(DESTINY-Gastric05)を通じて、HER2陽性胃がに対して同剤を早期治療ラインの選択肢として提供できるように同剤の開発を加速させていく。