キイトルーダ 切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がん周術期治療P3試験で好結果 MSD

 MSDは30日、キイトルーダについてP3相KEYNOTE-689において切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA-HNSCC)周術期治療として、術後標準治療(SOC)との併用療法が、SOC単独と比較して無イベント生存期間を有意に改善したと発表した。
 KEYNOTE-689試験は、III期またはIVA期のLA-HNSCC患者に対する周術期治療として、キイトルーダを評価するもの。この試験の初回の中間解析では、切除可能なLA-HNSCC患者に対する周術期治療においてキイトルーダを術後標準治療(SOC)の放射線治療(±シスプラチン)と併用した場合、術後標準治療の放射線治療(±シスプラチン)のみを実施した場合と比較して無イベント生存期間(EFS)の有意な改善が示された。このデータは4月27日に2025年米国癌学会(AACR)年次総会のプレナリーセッションで発表された。
 フォローアップ期間の中央値38.3カ月(範囲:9.0〜66.5カ月)の結果では、術前にキイトルーダを投与(術前補助療法)し、術後にキイトルーダと標準治療の放射線治療(±シスプラチン)との併用療法を行い、さらにキイトルーダを単独投与(術後補助療法)したところ、ITT解析対象集団において術後補助療法の放射線治療(±シスプラチン)のみを実施した場合と比較して、EFSイベントのリスクが、PD-L1 Combined Positive Score(CPS)≧10の患者では34%(HR=0.66 [95% CI, 0.49-0.88]; p=0.0022)、CPS≧1の患者では30%(HR=0.70 [95% CI, 0.55-0.89; p=0.0014)、ITT解析対象集団では27%(HR=0.73 [95% CI 0.58-0.92]; p=0.0041)低下した。
 CPS≧10の患者におけるEFSの中央値は、キイトルーダ+SOC群では59.7カ月(95% CI, 41.1-未到達[NR])、SOC群では26.9カ月(95% CI, 18.3-51.5)であった。
 CPS≧1の患者におけるEFSの中央値は、キイトルーダ+SOC群では59.7カ月(95% CI, 37.9-NR)、SOC群では29.6カ月(95% CI, 19.5-41.9)であった。
 ITT解析対象集団におけるEFSの中央値は、キイトルーダ+SOC群では51.8カ月(95% CI, 37.5-NR)、SOC群では30.4カ月(95% CI, 21.8-50.1)であった。 キイトルーダの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験における安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。
 また同試験では、重要な副次評価項目であるmajor Pathological Response(mPR)にも、術後の放射線治療のみの場合と比較して、CPS≧10の患者(mPR率の差:13.7% [95% CI, 9.7-18.7]; p<0.00001)、CPS≧1の患者さん(9.8% [95% CI, 7.0-13.3]; p<0.00001)およびITT解析対象集団(9.3% [95% CI, 6.7–12.8, P<0.00001)において、統計学的に有意な改善が認められた。
 別の重要な副次評価項目である全生存期間(OS)についても、この中間解析の時点で、キイトルーダと標準治療を併用した群と標準治療単独群との比較において、CPS≧10の患者で改善傾向が認められた(HR=0.72 [95% CI, 0.52-0.98])。
 この中間解析の時点で、OSの結果は統計学的な有意水準に到達しなかった。統計的検定は階層的に実施され、CPS≧1およびITT解析対象集団における正式な検定は実施されなかった。OSは次回の中間解析で検証する。
 KEYNOTE-689試験データに基づくキイトルーダの生物製剤承認一部変更申請(sBLA)は、現在米国FDAの優先審査品目として審査されており、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の審査完了予定日は2025年6月23日に設定されている。
 キイトルーダは、現在、転移を有するまたは切除不能再発の頭頸部扁平上皮がんに対する単独療法および併用療法として米国、欧州、中国、日本その他世界中の国で承認されている。

◆KEYNOTE-689試験共同治験責任医師のラビンドラ・ウパルリ氏(Brigham and Women’s Hospitalおよびダナ・ファーバーがん研究所の頭頸部外科腫瘍学ディレクター)のコメント この試験では、切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がん患者さんにおいて、直近20年以上で初めて良好な結果が得られた。この画期的な結果の発表は、患者さんや医療従事者にとって非常に重要な転機となる。
 KEYNOTE-689試験により、特定のLA-HNSCC患者さんに、早い段階で再発、疾患進行のリスクを抑える選択肢を提供できる可能性という、治療開発の意義深い進展が示された。

◆KEYNOTE-689試験共同治験責任医師のダグラス・アドキンス氏(セントルイス・ワシントン大学医学部の腫瘍学教授)のコメント
 キイトルーダによる免疫療法を標準治療の手術および術後補助療法の(化学)放射線治療に追加することで、EFSイベントのリスクが、標準治療のみの場合と比較して27%と有意に低下した。
 抗PD-1抗体による治療として初めて、より早期の頭頸部扁平上皮がんに対する術前・術後補助療法において無イベント生存期間に統計学的に有意で臨床的に意味のある改善が認められたことは非常に重要である。

◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発部門がん領域担当責任者のコメント
 KEYNOTE-689試験は、早期がんにおいてキイトルーダに基づくレジメンを評価し、良好な結果が得られた12件目のピボタル試験となり、この重要な研究分野の満たされないニーズへの当社の取り組みを示すものである。
 今回の注目すべき結果は、このレジメンがこの困難な疾患に直面する特定の患者さんの治療のあり方を変える可能性があることを示している。当社はFDAや世界各国の規制当局と連携し、この新たな治療の選択肢を一日も早く患者さんに届けられるよう取り組んでいる。

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