
塩野義製薬は26日、アステラス製薬、およびNTTデータとデジタル治療サービス(DTx)の普及を目指し、「DTx流通プラットフォーム」の開発・運用に向けた検討を開始する基本合意書を締結したと発表した。
3社は基本合意契約に基づき、2026年3月を目標として同プラットフォームの具体的な構想をまとめ、その後の社会実装を目指す。今後DTxの上市を予定している企業や関連企業との連携も視野に入れており、この取り組みに賛同する人々からの意見を待っている。
DTxとは、モバイルアプリケーションなどを通じて「疾患等を治療、管理、予防するため、エビデンスに基づいた治療介入を提供するデジタル治療サービス」で、新たなモダリティ(治療手段)として注目されている。
米国やドイツなどの海外では既に普及が進んでおり、日本でも今後の発展が期待されている。だが、日本のDTx市場はまだ発展途上であり、認知度の向上、製品開発や承認モデルケースの確立、流通プロセスの整備など、個社単独では解決が難しい課題が多く存在している。これらは、多くの企業が連携・協力して取り組むべき共通の課題である。
同プラットフォームの構想は、各事業者の協力によるDTx市場の「共創」を理念として取り組む。DTxの開発に関する知見を有する塩野義製薬およびアステラス製薬、ならびにITサービスを提供するNTTデータが、各領域の知見を集約し、業界標準に資するプラットフォーム提供を実現することで国内DTxのスムーズな普及と発展を目指す。
具体的には、DTx流通プロセスの標準化・医療機関の利用環境の一元化など、DTxの利用に必要な機能を統一することで、医療機関やDTx開発企業の負担を減らし、患者の医療アクセス向上に寄与していく。加えて、こうした取り組みを推進する活動として、ヘルスケア企業が参画するコンソーシアムの設立についても検討を進めていく。

◆三春洋介塩野義製薬執行役員 DX推進本部長のコメント
今回の基本合意書の締結により3社でDTx流通プラットフォームの構想検討に取り組めることを大変うれしく思う。各社の強みやノウハウを活かした「共創」に取り組むことで、国内DTxのスムーズな普及につながる価値の高いプラットフォームが提供できると確信している。引き続き、患者さんや社会の抱える困り事の解決に向けた新たなソリューションの提供に取り組んでいきたい。
◆Adam Pearsonアステラス製薬経営戦略担当のコメント
アステラス製薬は、医薬品に留まらず、ペイシェントジャーニー(診断、予防、治療および予後管理を含む医療シーン全般)全体を通じて、様々なアプローチで患者さんに「価値」を届けることを目指している。DTxはそうした取り組みの一つである。DTx流通プラットフォームを実現する方法を探索し、患者さんにベネフィットをもたらすために、3社でこの基本合意書を締結できることを嬉しく思う。
◆安地 亮一NTTデータ執行役員第二インダストリ統括事業本部長のコメント
デジタルの力で患者に新たな治療手段を提供するDTxに期待が高まっている今、医療・ヘルスケア産業のリーディングカンパニーである塩野義製薬、アステラス製薬と共に、DTxの社会実装に挑戦する機会を得られたことを光栄に思う。
DTx普及がわが国の健康増進や医療費の抑制といった重要な社会課題の解決に資する営みであると確信し、患者様や医療機関様にとって使いやすく、安心してお使いいただけるプラットフォームづくりに取り組んで行きたい。