
芦田信JCRファーマ会長兼社長は13日、2024年度決算説明会で会見し、来年4月のトップ交代人事について説明した。
JCRファーマは、50年前に原料を売る会社としてスタートし、ずっとバイオに関わる事業を展開してきた。同日、来年4月1日付けで、芦田信現会長兼社長が取締役ファウンダーに退き、薗田啓之取締役専務執行役員が代表取締役社長、芦田透取締役専務執行役員が代表取締役会長に昇格する役員人事を発表した。
芦田氏は、まず、「最も力を入れていたのが研究で、中枢神経系に必要な薬剤を届けるJ-Brain Cargo技術やライソゾーム酵素などを生み出した。我々は、製薬会社であると共にバイオベンチャーが約半分を占めている」と自社の歩みを紹介。
その上で、「これまでは常にベンチャー精神を忘れないという姿勢でうまく機能してきた。若い経営者には、会社を始めた当時の活力が出るようにして頂きたい。新社長、会長を中心に頑張って創立100年を迎えられる素晴らしい会社になってほしい」と訴えかけた。
芦田信氏は、「2026年4月に向けて現会長、新社長と3人で新しい体制について議論し、準備を進めていきたい」とコメント。
薗田氏は、「トップ交代で会社がガラッと変わることはない」とした上で、「従来通り希少疾患をベースにアンメットメディカルニーズに応えていきたい。我々が置かれている環境の中でどのように持続可能に持って行くかが大きい」との認識を示した。
さらに、「持続可能を維持した上で、希少疾患以外のところも手がける可能性」も示唆し、「研究開発には常に通しして新しい技術を開発していく。開発した技術をどのように使うかは、今までよりも幅広くオプションを考えながらやっていきたい」と抱負を述べた。
JCRファーマの2024年度の業績は、売上高330億7200万円(対前年比22.9%減)、営業利益66億5000万円(前期は75億3100万円の黒字)、経常利益△74億7700万円(72億6400万円の黒字)、親会社株主に帰属する当期純利益△47億5900万円(55億0700万円の黒字)となた。
ムコ多糖症Ⅱ型治療剤「イズカーゴ」は好調に推移し、遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト」も昨年4月に薬価改定があったものの販売数量が増加して増収となったが、腎性貧血治療薬の減収等により製品売上高は減収となった。
加えて、予定していたライセンス契約が当期中の締結には至らなかったことなども減収要因となった。研究開発費は、積極的な研究開発活動の結果、対前年比37.4%増の154億3100万円となった。
利益面は、研究開発費の大幅な増加、予定していたライセンス契約が当期中の締結には至らなかったこと、製造関係の資材および治験薬等の在庫精査による使用予定のないものの損失計上、新工場建設に対する補助金確定の今期へのずれ込みなどが要因となり赤字となった。
2026年3月期は、売上高378億円(14.3%増)、営業利益26億円(-)、経常利益24億円(-)、親会社株主に帰属する当期純利益30億円(-)を見込んでいる。