リンヴォック 巨細胞性動脈炎治療薬として欧州委員会が承認 アッヴィ合同会社

 アッヴィ合同会社は28日、リンヴォックについて、巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者の治療薬として、欧州委員会(EC)より製造販売承認を取得したと発表した。
 リンヴォックは、欧州、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーにおいて、GCA成人患者の治療薬として承認された初めてかつ唯一の経口JAK阻害薬である。
GCAは、側頭動脈などの頭部の動脈、大動脈、ほかの中型・大型の動脈などに炎症を引き起こす自己免疫疾患である。GCAは、一般的に50歳以上で発症し、70~80歳で最も多くみられる。
 今回のEC承認は、P3相SELECT-GCA試験のデータに基づくもの。同試験では、リンヴォック15 mgと26週間のステロイド漸減投与の併用により、プラセボと52週間のステロイド漸減投与の併用と比較して、主要評価項目と主な副次的評価項目が達成された。
 52週間のプラセボ対照期間において、リンヴォック15mgの安全性プロファイルは、既に承認されている適応症で認められたものと概ね一致していた。
 重篤な有害事象が発現した割合は、リンヴォック15 mg群とプラセボ群で、同程度であった。重篤な感染症が発現した割合は、リンヴォック15 mg群で5.7%、プラセボ群で10.7%であった。注目すべき事象が認められた患者さんの割合については、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がんを除く)(リンヴォック15 mg群1.9%、プラセボ群1.8%)および静脈血栓塞栓症(リンヴォック15 mg群3.3%、プラセボ群3.6%)に関して、投与群間で同程度であった。
 プラセボ群では主要心血管イベント(MACE)と判断された事象が2件認められたのに対し、リンヴォック15mg群では認められなかった。治験薬投与下で発現した死亡は4件報告され、2件がプラセボ群、2件がリンヴォック15mg群であった。
 リンヴォック15mg群の治験薬投与下で発現した死亡2件のうち、1件はCOVID-19によるものであり、もう1件は原因不明と判断された。
 リンヴォックは欧州において、成人の強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、成人および青年期のアトピー性皮膚炎、そして成人のGCAの治療薬として承認されている。

◆Wolfgang Schmidt SELECT-GCA試験の治験責任医師でヴァルトフリーデ病院リウマチ科(ドイツベルリン)教授のコメント
 GCAは、患者さんをしばしば消耗させ、困難を伴う疾患である。GCAの患者さんは頭痛や顎痛、筋肉痛に苦しんでいる場合があり、多くは突発的かつ永久的な視力喪失を引き起こす可能性がある。 SELECT-GCA試験の結果は、患者さんがリンヴォックにより寛解維持を達成し、ステロイドの累積使用量を減らせることを示している。これはGCA患者さんの治療における重要な目標の達成に寄与することを表している。

◆Roopal Thakkarアッヴィexecutive vice president, research & development兼chief scientific officer(M.D.)のコメント
 リンヴォックがGCAの治療薬としてECから承認されたことにより、高齢で併存疾患が多くみられるリスクの高いGCAの患者さんに新たな治療選択肢がもたらされ、初めての経口の先進治療が提供される。この重要な成果は、寛解維持を含め、患者さんのより良い転帰の達成に役立つよう、アンメットニーズの高い領域における継続的な研究と適応拡大を目指す私たちの取組みの姿勢を示すものである。

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