塩野義製薬は24日、2025年3月期の期末配当予想を前回発表(2024年8月30日)した1株当たり29.00円から4円増配の33.00円に上方修正すると発表した。
これにより、中間配当と合わせた年間の配当金は、株式分割前の換算で前期と比べて24円増の1株当たり184円となり、13期連続の増配となる予定である。
2024年度は、国内事業では、COVID-19治療薬のゾコーバや、ゾフルーザを中心とするインフルエンザファミリーなど、複数の急性呼吸器感染症の治療薬の提供により、年間を通じた収益の安定化を図ることができた。
今冬のCOVID-19の流行が前年と比較して極めて低調に推移した中でも、医療現場でのゾコーバに対する理解が浸透し、市場シェアが大きく拡大。また、インフルエンザファミリーも高い市場シェアを維持拡大させ、今冬のインフルエンザの大流行の際には、販売を大きく伸長した。
それぞれの感染症治療薬市場において計画通りのシェアを獲得しているため、今後の流行拡大期に安定的な業績貢献が期待できる。引き続き、感染症拡大期に、より患者に必要とされる治療薬を速やかに提供するため、早期診断・早期治療への理解を高める活動を推進していく。
海外事業では、グラム陰性菌感染症治療薬のセフィデロコルについて、自社による販売増に加え、パートナリングを活用した供給国の拡大によって、同薬へのアクセスが向上した。グローバルにおけるセフィデロコルの売上拡大に伴い、海外子会社/輸出の売上収益は、4期連続で過去最高を更新する見通しである。
また、今後の成長ドライバー候補である複数の有望な開発プロジェクトに積極的な投資を行った。特にCOVID-19治療薬エンシトレルビル(日本での製品名:ゾコーバ)については、2つのグローバルP3試験の結果を公表し、欧米およびアジア各国の規制当局と製造販売承認申請に向けた協議を進めながら、米国において予防適応での申請を開始した。
同社の持続的な成長の実現に向け、エンシトレルビルやゾフルーザ、セフィデロコルを含む自社創製品のグローバル販売の拡大を中心とする新たな成長フェーズへの移行が大いに期待される。
これらの取り組みに加え、英国ヴィーブ社によるHIVフランチャイズの販売が着実に伸長しており、ヴィーブ社から受領するロイヤリティーと配当金も堅調に拡大している。また、同フランチャイズにおける長時間作用型製剤の新製品であるCabenuvaとApretudeの市場浸透が順調に進んでおり、中長期的な成長が予想される。
さらに、当期は、同社株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的に、株式分割および株式分割に伴う定款の一部変更を実施した。
これらの背景ならびに財務状況、STS2030 Revisionの株主還元指標であるEPS、DOE、ROE等を総合的に勘案した結果、前回発表(2024年8月30日)の期末配当予想を、1株当たり4円増配し、33円に修正する。