アストラゼネカは7日、 のカルケンスとベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法について、欧州連合(EU)でマントル細胞リンパ腫(MCL)の一次治療における最初で唯一のBTK阻害剤として、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)から承認勧告を受けたと発表した。
適応症は、自家造血幹細胞移植が不適応の前治療歴のないMCLの成人患者。MCLは稀で、一般的に悪性度の高い非ホジキンリンパ腫の一種であり、進行期で診断されることが多い疾患である。2024年には、英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアで6000人以上の患者がMCLと診断されたと推定されている。
CHMPの肯定的な見解は、2024年欧州血液学会で発表されたP3相ECHO試験の結果に基づくもの。
ECHO試験の結果において、カルケンスとベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法群は、標準治療である免疫化学療法群と比較して、病勢進行または死亡のリスクを27%低減したことが示された(ハザード比[HR]0.73;95%信頼区間[CI]0.57~0.94;p=0.016)。
無増悪生存期間(PFS)の中央値は、免疫化学療法単独群では49.6カ月であったのに対し、カルケンス併用療法群では66.4カ月であった。
カルケンスの安全性と忍容性は既知の安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されなかった。
カルケンスをMCLの一次治療における併用療法として推奨する今回の勧告は、再発または難治性MCL成人患者の治療におけるカルケンスの単剤療法に対するCHMPの最近の肯定的見解に続くものである。
ECHO試験の結果に基づき、カルケンスとベンダムスチンおよびリツキシマブの併用療法は、米国および他の数カ国でこの適応症で承認されている。現在、日本および他の数カ国でこの適応症に関する申請が審査中である。
◆同試験治験責任医師のMartin Dreyling氏(ミュンヘン大学病院医学部の医学博士)のコメント
ピボタル試験であるECHO試験の結果は、この稀で悪性度の高いがんの管理において、カルケンスの併用療法が大きな効果を発揮することを実証した。
今回の勧告は、MCLの一次治療における大きな進歩であり、特に有効性と忍容性のバランスを必要とする高齢患者さんにとって重要である。
◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー・ヘマトロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントのコメント
今回のCHMPの肯定的な勧告は、MCLの一次治療における選択肢としてのカルケンスの可能性をさらに強化するものであり、カルケンスの併用療法は、この適応症においてPFSをおおむね1年半延長することを示している。
承認されれば、カルケンスは、欧州でこれらの患者さんに承認される初のBTK阻害剤として、標準治療を変革する可能性がある。