肥満症治療薬「ゼップバウンド」 4月11日に新発売 日本イーライリリー・田辺三菱製薬

 日本イーライリリーと田辺三菱製薬は19日、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「ゼップバウンド」について、4月11日に新発売すると発表した。同発売は、3月19日に「肥満症」を効能・効果として薬価基準収載されたことに伴うもの。
 適応症は、「肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、「・BMIが27 kg/㎡以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する ・BMIが35 kg/㎡以上」に該当する場合に限る。
 日本におけるゼップバウンドの提供については、2型糖尿病治療薬「マンジャロ」と同様に、田辺三菱製薬が流通・販売を行い、日本イーライリリーと田辺三菱製薬が共同で情報提供活動を行う。
 ゼップバウンドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の二つの受容体に作用する持続性GIP/GLP-1受容体作動薬。天然GIPペプチド配列をベースとした単一分子であるが、GLP-1受容体にも結合するように改変されており、選択的に長時間作用するため週1回投与が可能である。
 同剤は、1回使い切りのオートインジェクター型注入器「アテオス」により、週1回皮下注射で投与される。予め取り付けられている注射針が、注入ボタンを押すことで自動的に皮下にささり、1回量が充填されている薬液が注入される。患者が注射針を扱ったり、用量を設定したりする必要はない。
 また、同剤の用量は2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mgの6規格のラインナップで、状態に応じての使い分けが可能だ。通常、成人にはチルゼパチドとして週1回2.5mgの用量から開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する。
 患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgまで減量、または4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。

薬価は、ゼップバウンド皮下注2.5 mgアテオス 0.5mL 1キット: 3067円、同注 5 mg 1キット: 5797円、同7.5 mg 1キット: 7721円、同10 mg 1キット: 8999円、同12.5 mg1キット: 1万0180円、同15mg:1万1242円

 なお、製造販売承認を取得した適応症以外の目的で使用された場合の、ゼップバウンドの安全性および有効性は確認されていない。ゼップバウンドは国内の添付文書に則った適切な使用が求められる医薬品であり、国内で承認された使用法以外で使用された場合には、思わぬ健康被害が発現する恐れがある。
 両社は、ゼップバウンドを必要とする人が、安全かつ適切に使えるように添付文書および最適使用推進ガイドラインに則った情報提供活動に注力していく。

◆小嶋毅彦日本イーライリリー糖尿病・成長ホルモン事業本部本部長のコメント
 肥満のある人は、日本に約2800万人いると推定されており、肥満に伴う健康障害を合併している人が、肥満症に該当する。肥満症は、QOLの低下だけでなく、既に患っている慢性疾患の悪化や、更に他の健康障害を引き起こすリスクがある。それにもかかわらず、肥満症は他の慢性疾患と同じレベルの必要な治療がなされて来なかった。
 今回、日本の肥満症のある人へ新たな治療選択肢をお届けできることを大変嬉しく思う。ゼップバウンドを通じて、肥満症のある人がエビデンスに基づく適切な治療を享受し、より充実した生活を送ることができるよう貢献していく。

◆倉垣康隆田辺三菱製薬日本医薬事業本部長のコメント
 肥満や肥満症は、遺伝的、身体的、心理的、社会的など複合的な要因が合わさっており、生活習慣だけが原因ではないにもかかわらず、肥満や肥満症に対する偏見や差別(オベシティ・スティグマ)が社会課題として存在している。
 今回、ゼップバウンドが薬価収載され、肥満症の新しい治療選択肢として医療現場へお届けしていくにあたって、情報提供活動を通じた本剤の適正使用推進に努めることはもちろん、慢性疾患である肥満症が正しく理解され、肥満症のある人がよりよい生活を送ることができるよう両社で活動していく。

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