グローバルスペシャリティファーマとしての目標実現にまた一歩前進
小野薬品は17日、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)治療薬「ROMVIMZA(ビムセルチニブ)」について、14日に米国FDAが承認したと発表した。適応症は、外科的切除により機能制限の悪化または重篤な病状が生じる可能性のある腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の成人患者。 今回の承認は、同社の完全子会社であるデサイフェラ社(米国マサチューセッツ州が研究、開発したROMVIMZAが、プラセボと比較して主要評価項目である客観的奏効率(ORR)の統計学的に有意な改善を達成し、生活の質に関する評価項目を含む、すべての副次評価項目において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善と忍容性の高い安全性プロファイルを示したP3相MOTION試験結果に基づくもの。なお、ROMVIMZAは、FDAからファストトラック指定および優先審査の対象に指定されていた。
TGCTは、関節の内側または近位に発生する希な非悪性腫瘍である。TGCTはコロニー刺激因子1(CSF1)遺伝子の調節異常によって引き起こされ、CSF1の過剰産生につながる。
治療を行わなかった場合、または腫瘍が何度も再発すると、影響を受けた関節および周囲の組織に損傷と変性が生じ、重大な障害を引き起こす場合がある。
抗CSF1/CSF1受容体(CSF1R)療法による治療歴がなく(イマチニブまたはニロチニブによる治療は許容)、手術不適応のTGCT患者を対象にROMVIMZAの有効性および安全性をプラセボと比較評価する無作為化二重盲検プラセボ対照のP3相MOTION試験において、ROMVIMZAは、プラセボと比較して、intent-to-treat(ITT)集団における固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST v1.1)を用いた盲検独立放射線評価委員会(BIRR)の評価による25週時のORRで、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した(ROMVIMZA群40% vs プラセボ群0%、p<0.0001)。
主要評価項目の結果は、プラセボ群と比較してvimseltinib群において25週時で観察された可動域、患者報告による身体機能および疼痛について統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した結果に支持されている。ROMVIMZAの安全性プロファイルは管理可能であり、P1/2試験でこれまでに報告されたものと一貫していた。
デサイフェラ社はROMVIMZAを米国で今週に発売開始する予定である。なお、ROMVIMZAは、昨年7月、TGCT治療薬としての医薬品販売承認申請(MAA)を欧州医薬品庁(EMA)が受理し、現在審査中である。
デサイフェラ社は、米国におけるTGCT患者および医療従事者がROMVIMZAにアクセスしやすい環境を整えるための支援に尽力している。その取り組みの一環として、同剤への包括的なアクセスと治療対象患者への経済的な支援プログラムを提供する患者支援プログラムDeciphera AccessPoint DecipheraAccessPoint.comを利用できるようにしている。
◆Hans Gelderblom Leiden University Medical Center Department of Medical Oncology学部長(M.D., Ph.D.)のコメント
ROMVIMZAの承認により、TGCT患者さんに忍容性が高く、有効性を示す新たな治療選択肢を提供できることになった。TGCTは激しい痛み、可動域の制限、強張りを引き起こし、患者さんの生活に悪影響を及ぼす。
P3相MOTION試験ではROMVIMZAが腫瘍を縮小するだけでなく、他の承認済みのTGCT治療薬で見られるような肝障害が認められることなく生活の質に関する重要な測定項目を有意に改善し、かつ忍容性の高い安全性プロファイルを示した初めての薬剤であることが確認された。
この新たな治療薬は、TGCTにおける治療の重大なアンメットニーズに応えるものとなり得る。
◆宇田川良太デサイフェラ社社長のコメント
ROMVIMZAがTGCT治療薬としてFDAに承認されたことはTGCTの治療における大きな前進である。我々はROMVIMZAが外科的切除により機能制限の悪化や重篤な病状が生じる可能性のあるTGCT患者さんの新たな標準治療薬になり得ると考えている。 ROMVIMZAはデサイフェラ社独自のスイッチコントロールキナーゼ阻害剤プラットフォームを用いて創薬された治療薬で2つ目に承認されたものとなり、今回の承認は当社の成長にとって重要なマイルストーンになる。
◆滝野十一小野薬品代表取締役社長のコメント
今回、ROMVIMZAがFDAに承認されたことを大変嬉しく思う。これにより、我々の目指すグローバルスペシャリティファーマとしての目標の実現にまた一歩近づくことができた。
ROMVIMZAの承認は、TGCT患者さんへの新たな治療選択肢の提供を可能にするものであり、当社の企業理念を具現化するものである。今後も、革新的な医薬品の開発と提供に努め、世界中の患者さんに貢献していく。