ケレンディア 国内で慢性心不全の適応追加承認申請 バイエル薬品

 バイエル薬品は14日、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「ケレンディア)」について、厚労省に同日、慢性心不全(HF)の適応追加承認申請を行ったと発表した。
 日本のHF患者数は、正確な統計はないものの120万人と推計される。人口の高齢化に伴いHF患者数は増加を続けており、2030年には130万人を超えると言われている。
 HF患者のうち約6割は、心機能の指標である左室駆出率(LVEF)が40%以上である。LVEF 40%以上のHF患者では高血圧や心房細動などの複数の疾患が併存し、病状の管理は複雑になる。LVEF 40%未満のHFに対する治療は進歩しているが、LVEF 40%以上のHFでは治療の選択肢が限られている。
 今回のケレンディアの適応追加に関する承認申請は、日本人を含むLVEF 40%以上のHF患者約6000人を対象とした国際共同P3試験FINEARTS-HFのデータに基づくもの。
 同試験においてケレンディアは、主要評価項目である心血管死およびすべての(初回および再発)HFイベント(HFによる入院または緊急受診)のリスクを統計学的有意に16%減少させた(相対リスク減少、率比[rate ratio:RR]0.84[95%CI、0.74-0.95;p=0.0072])。
 また、ケレンディアの忍容性は良好で、既知の安全性プロファイルと一貫していた。同試験データは、2024年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で2024年9月に発表され、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに同時掲載された。
 ケレンディアは、ミネラルコルチコイド受容体(MR)およびレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰活性化を標的とすることにより、血行動態因子や炎症・線維化プロセスなどLVEF 40%以上のHFの主要な要因に対処する。
 同試験結果よってケレンディアは、LVEF 40%以上のHFを対象に心血管ベネフィットを示した初のMRAとなった。
 ケレンディアは、現在、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全や透析施行中の場合は除く)の治療に使用されている。
 バイエル薬品は、同剤への慢性心不全の適応追加、および販売中の慢性心不全治療剤「ベリキューボ(R)」(一般名:ベルイシグアト)を通じて、心腎領域のアンメットメディカルニーズに対してさらなる貢献を目指す。

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