第一三共は3日、ダトポタマブ デルクステカン(抗TROP2抗体薬物複合体[ADC])について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)よりホルモン受容体陽性かつHER2陰性の転移性乳がんに係る承認勧告を受けたと発表した。
適応症は、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2陰性(IHC 0, IHC 1+ または IHC 2+/ISH-)の手術不能または転移性乳がんに係る二次/三次治療。
乳がんは、がんによる死亡の主な原因の1つであり、2022年には欧州で新たに50万人以上が乳がんと診断された。乳がん患者全体の約70%を占めるHR陽性かつHER2陰性(IHC 0, IHC 1+ またはIHC2+/ISH-)の乳がんは、標準治療である内分泌療法において病勢が進行するケースも多いため、新たな治療の選択肢が必要とされている
同剤については、化学療法による前治療歴のあるHR陽性かつHER2陰性の手術不能または転移性乳がん患者を対象としたP3試験(TROPION-Breast01)結果に基づき、昨年3月にEMAで承認申請が受理されていた。
CHMPの肯定的見解は、欧州連合(EU)における医薬品の製造販売を承認する欧州委員会(EC)への最終的な承認勧告とみなされる。今回のCHMPによる承認勧告を受け、今後ECにて審議され、同剤の承認可否は数ヶ月以内に決定される見込みである。
また、同剤は、HR陽性かつHER2陰性の手術不能または転移性乳がんの二次/三次治療を対象に日本および米国において製造販売承認を取得している。現在、中国を含む各国・地域の規制当局との協議を進めている。