MSDは14日、開発中の1日1回経口投与のドラビリン/イスラトラビル2剤配合錠(DOR/ISL)について、同剤を評価するピボタルP3試験でウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症成人患者において抗レトロウイルス療法に対する非劣性を示し、有効性の主要評価を達成したと発表した。
異なる治療レジメン(ベースラインの抗レトロウイルス療法[bART]、MK-8591A-051試験)、またはビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(BIC/FTC/TAF[50mg/200mg/25mg]、MK-8591A-052試験)によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症成人患者を対象とした2つのピボタルP3相試験のトップラインデータを公表したもの。
48週時のHIV-1RNA量が50copies/mL以上の被験者割合を有効性の主要評価とし、両試験で主要評価を達成した。DOR/ISLは、非盲検のMK-8591A-051試験でbARTに対する非劣性、二重盲検のMK-8591A-052試験でBIC/FTC/TAFに対する非劣性を示した。MK-8591A-052試験における優越性の基準は満たさなかった。安全性の主要評価も両試験で達成した。
両試験の詳細な成績は、今後の学術学会で発表するほか、規制当局に提出する予定である。米国において、ドラビリンはHIV-1感染症成人患者の治療薬として、他の抗レトロウイルス薬と併用する単剤(PIFELTRO)、および配合錠(DELSTRIGO、ドラビリン/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩[DOR/3TC/TDF])が承認されている。
イスラトラビル(MK-8591)は、MSDが開発中のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害薬(NRTTI)であり、転写酵素とトランスロケーション阻害作用(ヌクレオチドのDNA鎖への結合および取り込みを阻害し、即座に伸長反応を停止する)と遅延性のチェーンターミネーション(トランスロケーションが起こった場合でもヌクレオチドの取り込みを阻害する)を有する。
イスラトラビルは現在、他の抗レトロウイルス薬との併用によるHIV-1感染症治療薬として複数の早期・後期臨床試験で評価を実施している。
DOR/ISLの試験としては、MK-8591A-051試験およびMK-8591A-052試験の他、治療歴のない(未治療)HIV-1感染症患者を対象としたMK- 8591A-053試験、第3相試験でDOR/ISL(100 mg/0.75 mg)の投与を受けたHIV-1感染症患者を対象にDOR/ISL(100 mg/0.25 mg)を投与する非盲検のMK-8591A-054試験を実施している。
◆エリアブ・バールMSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサー(博士)のコメント
1日1回経口投与のドラビリンとイスラトラビルの2剤配合錠を評価するP3試験では心強い結果が得られた。HIVとともに生きる人々のニーズに応える可能性のある選択肢として、他の抗レトロウイルス薬と併用するイスラトラビルの臨床プログラムを進めることに全力を注いでいく。