カビゲイル 免疫不全患者のSARS-CoV-2感染症発症抑制薬で承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカの長期間作用型モノクローナル抗体「カビゲイル」は、昨年12月27日、免疫不全患者に対する SARS-CoV-2による感染症の発症抑制を適応として国内で承認を取得した。
 厚労省による同承認は、P1/2相SUPERNOVA試験の結果に基づくもの。同試験により、免疫不全患者集団においてカビゲイル投与が対照薬(チキサゲビマブ/シルガビマブまたはプラセボ)と比較して症候性 COVID‐19の発症リスクを統計学的に有意に低下させたことが示された。
 免疫不全患者集団には、血液がん患者、臓器移植レシピエント、透析を要する末期腎不全患者、B細胞枯渇療法を受けてから 1 年以内の患者、免疫抑制剤を使用中の患者が含まれている。
 同試験は、2 つの主要評価項目を達成した。1つはSARS-CoV-2のすべての変異株によって引き起こされる症候性COVID-19発症の相対リスクの減少、もう 1 つはF456L変異を有さない SARS-CoV-2 変異株によって引き起こされる症候性 COVID-19 発症の相対リスクの減少であった。
 2023年の人口動態統計によると、日本国内では 2020年以降 COVID-19 による累計死者数が 10万人を超え、COVID-19が5類感染症とされた2023年5月以降でも2024年3月までの11カ月でのCOVID-19 関連死亡数は約4万人であり、依然として公衆衛生上の課題は残存している。
 免疫不全者においては、COVID-19 に罹患した場合、重症化しやすいことが明らかになっている。特に、造血幹細胞移植や固形臓器の移植を受ける患者、抗 CD20 抗体を用いて治療を受けている患者等において、重症化のリスクが高いことが知られている。
 また、免疫不全者がCOVID-19 に罹患した場合、その患者からウイルスが長期間排出されることが報告されている。
 一方で、いつまで隔離予防策を行うべきかについては統一した見解が得られておらず、悪性疾患などの原疾患への治療や、移植前および移植後の医療ケアにも影響が及ぶ可能性がある。そのため、免疫不全者においては、いかに感染させないかということも重要であると考えられる。
 だが、免疫不全者においては、COVID-19ワクチン接種により十分な免疫応答が得られないことが海外の大規模なリアルワールドエビデンス研究であるINFORMで確認された。INFORM研究によると免疫不全患者は、研究の対象集団の約 4%以下であるにもかかわらず、COVID-19 ワクチンの反復投与後であっても COVID-19 による入院、ICU 入院、死亡の約 25%を占めていた 。

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