台湾での脾臓チロシンキナーゼ阻害剤開発・販売でキッセイ薬品とサブライセンス契約締結 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は7日、同社連結子会社の台田薬品がキッセイ薬品と、脾臓チロシンキナーゼ阻害剤「ホスタマチニブ」(一般名)の台湾における開発および販売に関するサブライセンス契約を、同日、締結したと発表した。
 同契約の締結により、台田薬品は同剤の台湾における開発および商業化を実施する。また、台田薬品はキッセイ薬品に契約一時金および事業化の進捗に応じたマイルストンを支払い、キッセイ薬品から薬剤の供給を受ける。
 同剤は、経口投与可能な低分子化合物で、脾臓チロシンキナーゼ阻害作用により、マクロファージによる血小板の破壊を抑制することで、血小板の減少を抑制し、慢性特発性血小板減少性紫斑病(慢性ITP)の出血症状を改善する。
 ITPは、血小板減少の原因となる他の明らかな病気や薬の服用がないにもかかわらず、血小板数が10万/μL未満に減少し、出血しやすくなる疾患である。
 病状の経過により発症から6ヵ月以内に血小板数が正常に回復する「急性型」と、6ヵ月以上血小板減少が持続する「慢性型」に分類される。ホスタマチニブは慢性型ITPを対象としている。
 臨床症状としては、主として皮下出血(点状出血または紫斑)を認め、歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血なども起こることがある。ITPは日本では指定難病であり、2023年度国内のITP患者数は約1.7万人で、年間の新患発生数は10万人当たり2.16人と報告されている。
 ITPの原因はいまだ明確になっていないが、血小板に対する自己抗体が産生され、この自己抗体により脾臓でマクロファージによる血小板の破壊が亢進するために、血小板数が減少すると考えられている。ITPの治療として、副腎皮質ステロイドやTPO(トロンボポエチン)受容体作動薬の投与や、手術による脾臓の摘出などが行われる。
 田辺三菱製薬は、これまで60年以上にわたり台湾で培った医薬品開発と営業の基盤をもとに、循環器や代謝のほか、自己免疫疾患領域の強化などにも注力し、自社製品の展開や他社とのパートナリングを通して、幅広い治療薬の提供に一層貢献していく。
 

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