アステラス製薬は19日、ゲノム医療企業のSangamo (本社:米国)とSangamoの革新的な中枢神経指向性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドであるSTAC-BBBをアステラス製薬が使用するライセンス契約を締結したと発表した。
同契約によりアステラス製薬は、非ヒト霊長類において静脈内投与で高い血液脳関門透過性および神経細胞への遺伝子導入効率を示すSTAC-BBBを、神経疾患における1つの創薬ターゲットに対して世界中で独占的に使用するライセンス契約を締結したもの。
アステラス製薬は、ターゲット追加費用を支払うことにより、さらに最大4つの神経疾患における創薬ターゲットに対して、STAC-BBBを使用できる。
同契約に基づき、SangamoはSTAC-BBBの技術をアステラス製薬に移管する。アステラス製薬は、すべての研究、および創出されたプログラムの開発、製造、商業化を行う。
アステラス製薬は契約一時金として2000万ドルを支払う。さらに、ターゲットの追加に伴う支払いと、最大5つのターゲットに関するプログラムのマイルストンの合計最大13億ドルに加え、1桁台半ばから後半の売上高に応じたロイヤルティ(一定の減額条件が適用される場合あり)をSangamoに支払う可能性がある。
同件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2025年3月期)連結業績予想に織り込み済み。
◆Sandy Macrae SangamoCEOのコメント
私たちは、静脈内投与可能な革新的なAAVカプシドであるSTAC-BBBが、中枢神経系への遺伝子送達に関する課題を克服できると強く信じている。本契約は、STAC-BBBカプシドに対するバイオ医薬品業界の関心の高さを示しており、その可能性を理解しているパートナーとのコラボレーションに対する私たちの継続的なコミットメントを一層強化する。
アステラス製薬にSTAC-BBBのライセンスを提供し、アンメットメディカルニーズの高い中枢神経疾患に対する治療法の開発に貢献できることを嬉しく思う。
◆Adam Pearsonアステラス製薬経営戦略担当CStO(Chief Strategy Officer)のコメント
脳や中枢神経系への遺伝子送達は、遺伝子治療において非常に困難な課題です。アステラス製薬は、深刻な遺伝性神経疾患に苦しむ患者さんに革新的な治療法を提供するために、SangamoのSTAC-BBBカプシドのような技術が重要な役割を果たすと信じている。
私たちは、世界水準の遺伝子治療ポートフォリオを構築するとともに、研究、開発、製造、商業化に至るまで、患者さんに遺伝子治療を届けるために必要な能力を強化している。今回の契約により、遺伝性疾患に苦しむ患者さんに対する革新的な治療法の開発につながると確信している。