アストラゼネカは22日、子宮体がんの治療薬「イミフィンジ」と「リムパーザ」について、同日、日本で子宮体がん治療薬として承認を取得したと発表した。
効能・効果は、イミフィンジは「進行・再発の子宮体がん」、リムパーザは「ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行・再発の子宮体がんおけるデュルバルマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法後の維持療法」。
イミフィンジと化学療法の併用療法に続くイミフィンジ単独維持療法を行う一次治療は、ミスマッチ修復機能(MMR)の有無に関係なく承認された。
また、イミフィンジと化学療法の併用療法に続くイミフィンジとリムパーザの併用維持療法は、ミスマッチ修復機能が正常(pMMR)な患者に対し承認された。
厚労省による同承認は、進行または再発子宮体がんを対象に、一次治療としての化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法、および維持療法を目的とした免疫チェックポイント阻害剤と PARP 阻害剤の併用療法に対する初の承認である。
同承認は、Journal of Clinical Oncology で発表された DUO-E P3試験結果に基づくもの。同試験では、イミフィンジ群は、MMR 機能の有無にかかわらず、対照群と比較して患者の病勢進行または死亡のリスクを29%低減した(ハザード比 [HR] 0.71;95% 信頼区間 [CI]:0.57-0.89;p=0.003)。18カ月時点の無増悪生存割合は、対照群では 21.7%であったのに対し、イミフィンジ群では 37.8%であった。
また、イミフィンジとリムパーザの併用療法群は、対照群と比較して、pMMR 患者の病勢進行または死亡のリスクを43%低減した(HR 0.57;95% CI 0.44-0.73)。18カ月時点の無増悪生存割合は、対照群では 20.0%であったのに対し、イミフィンジとリムパーザの併用療法群では42.0%であった。
日本では、子宮体がんは女性のがんで6番目に多く、罹患数は増加傾向にあり、2022 年には 1万8300人以上が診断され、約3600 人が死亡すると推計されている。
早期で診断された患者の5 年生存率は約 80~90%であるが、進行期の患者のそれは20%未満に低下するため、新たな治療選択肢が強く求められてきた。また、子宮体がん患者の70~80%はミスマッチ修復機能が正常(pMMR)と言われている。
◆日本における DUO-E試験の治験責任医師岡本愛光氏(東京慈恵会医科大学 産婦人科学講座の主任教授)のコメント
進行または再発子宮体がんにおける一次治療の選択肢は限られている。今後、子宮体がんの患者数は大きく増えていくことが予想されるため、新たな治療選択肢を提供することは極めて重要である。
今回の承認により、子宮体がん患者さんはミスマッチ修復機能の状態に関係なく、初めて免疫療法を一次治療に利用できるようになる。さらに、ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の患者さんは、維持療法としてPARP阻害剤を追加することでさらなる治療ベネフィットの可能性が期待できる。
◆大津智子アストラゼネカの取締役研究開発本部長のコメント
今回のイミフィンジとリムパーザについての国内承認は、5 年生存率が20%未満という進行期の子宮体がん治療における大きな前進と言える。
子宮体がん患者さんの多くはミスマッチ修復機能が正常であり、一次治療においては化学療法以外の選択肢がなく、予後が悪いため、特にこうした子宮体がん患者さんにとって意義深い承認であると感じている。