MSDは12日、抗PD-1抗体「キイトルーダ」について、切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA-HNSCC)に対する周術期治療として、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を達成したと発表した。
Ⅲ期またはⅣA期と新たに診断された切除可能なLA-HNSCCに対する周術期治療として、キイトルーダを評価するP3試験(KEYNOTE-689試験)において、主要評価項目のEFSの改善を達成したもの。この試験ではキイトルーダを術前補助療法として投与し、術後に術後補助療法としてキイトルーダと標準治療の放射線治療(±シスプラチン)の併用療法を行い、さらに維持療法としてキイトルーダを投与する群を、術後放射線(±シスプラチン)療法群(以下、標準治療群)と比較した。独立データモニタリング委員会による事前に規定された初回の中間解析に基づき、キイトルーダ群では統計学的に有意で臨床的に意味のあるEFSの改善が示された。
また、この試験では、標準治療群と比較して、キイトルーダ群で、重要な副次評価項目であるmajor Pathological Response(mPR)にも統計学的に有意な改善が認められた。
キイトルーダの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験における安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。
重要な副次評価項目である全生存期間(OS)についても、キイトルーダ群で、改善傾向が認められた。初回の中間解析に基づき、PD-L1 の発現が認められる(CPS≧10)患者のOSの結果は統計学的な有意水準に到達しなかった。統計的検定は階層的に実施され、CPS≧1およびITT解析対象集団における正式な検定は実施されなかった。OSは次回の中間解析で検証する。これらの結果は、今後の医学学会で発表し、規制当局に提出していく。
キイトルーダは現在、転移性または切除不能再発の頭頸部扁平上皮がんに対する単独療法および併用療法として、米国、欧州、中国、日本その他世界中の国で承認されている。
◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部グローバル臨床開発部門がん担当責任者シニアバイスプレジデントのコメント(博士) KEYNOTE-689試験は、切除した局所進行頭頸部扁平上皮がんにおいて、この20年間で初めて良好な結果を示した試験であり、非常に大きな意味がある。統計学的に有意で臨床的に意味のあるこの結果は、頭頸部がんの治療を変革する可能性があり、特定のより早期ステージのがん患者さんに対するキイトルーダの役割が期待できることが改めて示された。