武田薬品は8日、ベクティビックス点滴静注とKRAS G12C阻害剤「ルマケラス錠」の併用療法について、KRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに対する日本での適応追加承認申請を実施したと発表した。
今回の適応追加申請は、KRAS G12C変異陽性の既治療の転移性の結腸・直腸がん(Colorectal Cancer:CRC)患者を対象に、ベクティビックスとルマケラスの2用量(240mgまたは960mg)を併用投与した際の有効性および安全性を評価するP3相、国際共同、多施設共同、ランダム化、非盲検、実薬対照試験(CodeBreaK 300試験)から得られた結果に基づくもの。
なお、日本における現在のベクティビックスの効能・効果は「KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」である。
CRCは全世界で男女ともに3番目に多く診断されるがんで、がんの部位別死亡原因の第2位である。日本における2023年の予測CRC罹患数は16.1万人で、男女合わせて最も多く、年間死亡数も5.4万人と推定され、がんによる死亡原因の第2位となっている。
早期のCRCは外科的切除が可能であるが、転移性のCRCは依然として予後が不良で治療選択肢が限られており、新たな治療オプションが待ち望まれている領域だ。
CRC患者の約3%がKRAS G12C変異を有すると推定されており、KRAS G12C変異を有する患者は、他のKRAS遺伝子変異を有する患者と比較して予後が悪いことが報告されている。
現在、日本ではKRAS G12C変異を含むKRAS変異を標的としたCRCに対する治療薬は承認されておらず、KRAS変異陰性CRC患者と比較して治療選択肢が少ないため、大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在している。
武田薬品では、ベクティビックスが日本で承認・発売された2010年から10年以上にわたり、大腸がんの個別化治療の進展に貢献できるよう取り組みを進めてきた。2022年には、日本において、RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がん患者を対象としたP3試験「PARADIGM試験」の結果を発表。同試験結果は、RAS野生型・左側原発の大腸がんに対する治療法として重要なエビデンスとなり、ガイドラインにも記載された。
武田薬品は引き続き、大腸がん患者の治療とアンメットニーズの解決のための取り組みを進めていく。