田辺三菱製薬の売却「今のところお知らせすることはない」 三菱ケミカルグループ筑本学代表執行役社長

筑本氏

 三菱ケミカルグループは1日、Webによる2025年3月期上期決算説明会を開催し、筑本学代表執行役社長がヘルスケアを含めた事業制度の検討について、「稼げる事業かどうか、将来性、我々自身がベストオーナーであるかなどあらゆる事業の中身をシビアに審査し、その結果を順次発表している」と報告。
 その上で、「そこには聖域はない。今後も粛々と事業の選別を行ってより集中することで利益性を高めていきたい」と強調し、田辺三菱製薬売却に関しては、「一部報道に出たが、今のところ新たにお知らせすることはない」と言い切った。
 また、本年7月29日に公表した田辺三菱製薬の希望退職制度については、辻村明広三菱ケミカルグループ執行役エグゼクティブバイスプレジデントファーマ所管(田辺三菱製薬代表取締役)が、「上期決算に織り込み済みである」と話すに留めた。三菱ケミカルグループ上期決算には、特別退職金として179億円を計上。その中に田辺三菱製薬の希望退職実施による影響が含まれている。
 三菱ケミカルグループの2024年3月期上期業績は、売上収益2兆2421億円(対前年比4%増)、コア営業利益1724億円(44%増)、営業利益1367億円(1%減)、税引前利益1061億円(19%減)、当期利益409億円(39%減)。その内、ファーマ事業は、売上収益2325億円(6%増)、コア営業利益414億円(28%増)となった。
 ファーマ事業の2024年度上期は、北米のラジカヴァ経口剤(ALS、筋萎縮性側索硬化症治療薬)の販売が引き続き堅調を示し、国内の薬価改定によるマイナス要因があったものの、為替によるプラス効果もあり、期初の想定と比較しても高い実績を示した。
 ラジカヴァ経口剤については、米国FDAよりALS治療用途に関して、2022年5月12日の承認から7年間の希少疾病用医薬品排他的承認を本年3月に受けている。
 国内医療用医薬品は、長期収載品の減少影響はあったが、マンジャロ(持続性GIP/GLP-1受容体作動薬、2型糖尿病治療薬)、インフルエンザワクチンの販売が伸長し、5種混合ワクチン「ゴービック」も順調な立ち上がりをみせた。
 国内医療用医薬品の売上収益は、乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬「ステラーラ」303億円(対前年同期比10.9%減)、関節リウマチなどの治療剤「シンポニー」216億円(4.0%減)、2型糖尿病治療剤のDPP4阻害剤「テネリア」48億円(11.6%減)、SGLT2阻害剤「カナグル」62億円(0.2%増)、DPP4とSGLT2の合剤「カナリア」35億円(36.4%減)、インフルエンザワクチン119億円(78.3%増)、5種混合ワクチン「ゴービック」69億円(-)となった。
 海外医療用医薬品の筋萎縮性側索硬化症治療薬「ラジカヴァ」は506億円(27.2%増)と引き続き大幅に拡大した。ラジカヴァ経口剤は高い水準で進捗しているが、下期は為替影響等で減益を見込んでいる。
 医薬品事業の2024年度業績予想は、売上収益4650億円(6.3%増)、コア営業利益610億円(8.5%増)、営業利益490億円(28.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益290億円(48.6%減)。

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