アステラスは21日、YLOYTM(ゾルベツキシマブ[遺伝子組換え])とフルオロピリミジンおよびプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法について、18日(現地時間)に米国FDAから局所進行性または転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん治療の一次治療薬として承認を取得したと発表した。
対象は、Claudin(CLDN) 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性または転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんに対する一次治療。
CLDN18.2陽性は、FDAで承認された検査により判定される。VYLOYTMは、米国で上記対象疾患に対するファーストインクラスの抗CLDN18.2モノクローナル抗体である。
SPOTLIGHT試験およびGLOW試験において、スクリーニングされた患者の約38%が、CLDN18.2陽性と判定された。VYLOYTMの免疫組織化学染色コンパニオン診断薬(Companion diagnostics:CDx)としてロシュが開発し、FDAから承認されたVENTANA CLDN18 (43-14A) RxDxアッセイにより、75%以上の腫瘍細胞において、CLDN18の免疫組織化学染色で細胞膜が中程度~強度の染色を示す場合CLDN18.2陽性と判定される。
アステラス製薬は、VYLOYTMによる治療が有益と考えられるCLDN18.2陽性の胃がん患者を同定するために、新たに承認されたVENTANA CLDN18 (43-14A) RxDxアッセイについて、ロシュと提携してきた。
今回の承認は、P3試験のSPOTLIGHT試験およびGLOW試験の結果に基づくもの。SPOTLIGHT試験では、ゾルベツキシマブ+mFOLFOX6療法(オキサリプラチン、ロイコボリンおよびフルオロウラシルを組み合わせた療法)群とプラセボ+mFOLFOX6療法群を比較した。
GLOW試験では、ゾルベツキシマブ+CAPOX療法(カペシタビンとオキサリプラチンを組み合わせた療法)群と、プラセボ+CAPOX療法群を比較した。
どちらの試験も、ゾルベツキシマブ+化学療法(mFOLFOX6あるいはCAPOX療法)群は、主要評価項目である無増悪生存期間(Progression-Free Survival:PFS)および重要な副次評価項目である全生存期間(Overall Survival:OS)のいずれにおいても、プラセボ+化学療法群と比較して、統計的に有意な延長を示した。
両試験のゾルベツキシマブ+化学療法群において認められた最も一般的な治験薬投与下の有害事象(Treatment Emergent Adverse Events:TEAE)は、悪心、嘔吐、食欲減退であった。
VYLOYTMによる治療が有益と考えられるCLDN18.2陽性の胃がん患者を同定するために、CDxとしてロシュが開発し、FDAから承認されたVENTANA CLDN18 (43-14A) RxDxアッセイを使用する。同CDxは、米国では複数の検査機関を通じて利用可能となり、順次、他の検査機関にも拡大される予定である。