武田薬品は6日、乾燥濃縮人プロテインC「セプーロチン」について、先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症、電撃性紫斑病の治療及び血栓形成傾向の抑制を効能・効果として日本で発売したと発表した。
セプーロチンは、主に日本人の4~27歳の先天性プロテインC欠乏症患者5例を対象とした国内P1/2試験(NCT04984889)および非日本人の先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした2つの海外P2/3試験(IMAG-098試験、400101試験)から得られた有効性および安全性のエビデンスに基づいて昨年4月28日に厚生労働省に製造販売承認申請を行い、本年3月26日に製造販売承認を取得したもの。
先天性プロテインC欠乏症は、肝臓で産生されて血液凝固を抑制する働きがあるプロテインCの先天的欠乏により血液凝固亢進状態となり、時に致死的な血栓症を発症するまれな疾患である。
特に新生児から乳幼児では、脳梗塞、脳静脈洞血栓症などの重篤な頭蓋内病変がしばしば生じる。さらには、電撃性紫斑病や硝子体出血などの重篤な症状を急速に発症し、長期的な後遺症が残るケースが多い疾患である。
セプーロチンは、ヒト血漿を分画して精製し、ウイルスの除去および不活化処理を施した静脈内注射用の乾燥濃縮人プロテインC製剤である。有効成分であるプロテインCは、内因性プロテインCと同様に、血管内皮細胞表面のトロンビン/トロンボモジュリン複合体によって活性化プロテインCに変換されることで抗凝固作用を発揮する。
そのため、セプーロチンは、先天性プロテインC欠乏症患者の静脈血栓塞栓症および電撃性紫斑病の治療、並びに血栓形成傾向の抑制に有用と考えられる。
海外では、重度先天性プロテインC欠乏症の治療薬として、欧州では2001年7月、米国では2007年3月に製造販売承認を取得しており、2024年7月現在世界46カ国で承認されている。
◆百合田剛史武田薬品ジャパン ファーマ ビジネス ユニット希少疾患事業部長のコメント
先天性プロテインC欠乏症は重篤な場合、長期的な後遺症が残ったり、最悪の場合、死に至ることもある疾患である。世界46カ国で承認されているセプーロチンを日本における新たな治療選択肢として提供し、もし自分の子どもが先天性プロテインC欠乏症だったらという気持ちを従業員一同が持ちながら、患者さんやご家族に少しでも貢献できるよう尽力していく。