パドセブとキイトルーダとの併用療法 進行性尿路上皮がん一次治療について欧州で適応追加承認取得 アステラス

 アステラスは28日、ファイザーと共同で開発を進めている抗体-薬物複合体「パドセブ」について、キイトルーダ(メルク)との併用療法による進行性尿路上皮がん一次治療において欧州で適応追加承認を取得したと発表した。
 対象は、白金製剤適応の切除不能または転移性の尿路上皮がん。今回の承認取得は、パドセブとキイトルーダの併用群が白金製剤を含む化学療法群と比較して、全生存期間(OS)の中央値を約2倍に延長し、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することを示したP3相EV-302試験(KEYNOTE-A39試験)結果に基づくもの。
 欧州では、膀胱がんは5番目に多いがんである。欧州連合(EU)において16万5000人以上が毎年新たに膀胱がんと診断され、5万人以上が死亡している。がんが進行した状態や転移した状態で診断される患者が多く、生存率が特に低くなっている。
 治療歴のない局所進行性または転移性の尿路上皮がん(locally advanced or metastatic urothelial cancer、la/mUC)を対象としたEV-302試験において、OSの中央値は、併用療法群で31.5カ月(95%信頼区間[Confidence Interval:CI]:25.4-未到達)、化学療法群で16.1カ月(95%CI:13.9-18.3)で、併用療法群は化学療法群と比較して死亡リスクを53%減少させた(ハザード比[Hazard Ratio:HR]=0.47、95% CI:0.38-0.58、P<0.00001)。
 PFSの中央値は、併用療法群で12.5カ月(95%CI:10.4-16.6)、化学療法群で6.3カ月(95%CI:6.2-6.5)であった。併用療法群は、化学療法群と比較して、がんの進行または死亡のリスクを55%減少させた(HR=0.45、95%CI:0.38-0.54、P<0.00001)。
 EV-302試験において、約30%の患者が化学療法を完了した後に、抗PD-L1抗体のアベルマブ(メルク)による維持療法に移行した。これは実際の臨床診療を反映している。同試験の結果は2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表され、New England Journal of Medicineに掲載された。
 ECからの販売承認は、EUに加盟している全27ヵ国の他、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーにも適用される。最近更新された欧州医学臨床腫瘍学会と欧州泌尿器科学会の臨床ガイドラインに準拠しており、ガイドラインでは、局所進行性または転移性尿路上皮がんの一次治療としてパドセブとキイトルーダの併用を推奨している。
 アステラス製薬は、同併用療法を必要とする患者に一日も早く提供するため、EU内の各国の規制当局や医療技術評価機関と緊密に連携している。
 同併用療法に関しては、2023年12月に米国FDAから承認を取得。欧州では2022年4月に、白金製剤を含む化学療法およびPD-1またはPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん患者における単剤療法として、パドセブはECから販売承認を取得している。
 なお、同件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2025年3月期)連結業績予想に織り込み済みである。

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