東芝デジタルソリューションズは26日、アロステリック創薬分野において、Revorfと創薬困難なタンパク質をターゲットとしたIT創薬ソリューションの提供へ向けた戦略提携契約を締結したと発表した。併せて東芝デジタルソリューションズは、Revorfに出資した。
同提携に基づき、両社は、Revorfが有する生体情報の高度計算処理技術および創薬分野の専門家によるデータ分析力と、東芝デジタルソリューションズの量子インスパイア―ド最適化ソリューション「SQBM+」といった両社の強みを組み合わせて、量子インスパイアード技術を用いたIT創薬ソリューションを共同開発し、製薬企業に提供する。
両社は2022年6月、「SQBM+を活用して、タンパク質のアロステリック制御(タンパク質に機能的多様性をもたらす立体構造や活性を特異的に調節する機構)の予測を高精度に行う技術を開発し、計算創薬への適用性を検証した」ことを明らかにした。
その後、両社は予測精度を高める共同研究を進め、さらにin vitro実験で実証を行った結果、実用化の目処が立った。さらに、同技術に対する市場からの期待も確認できたため、今回、戦略的提携に合意し、アロステリック創薬分野において連携および協業を開始した。
今後、Revorfは、SQBM+によって可能になったアロステリック制御予測技術による製薬会社への創薬支援や共同研究への適用を計画している。
東芝デジタルソリューションズは、SQBM+を中心として創薬プロセスのさらなる効率化を実現し、Revorfの事業の価値を高める技術を戦略的に提供していく。
両社はこれまで、アロステリック制御の予測をSQBM+で解く量子計算アルゴリズムを共同で開発してきた。今回の提携を通じて、新たなIT創薬ソリューションの開発を加速し、創薬分野における社会問題の解決に貢献していく。
◆末田伸一Revorf代表取締役 のコメント
Revorfは、「人々の当たり前の健康が脅かされない世界」を目指し、情報解析技術と独自のバイオ技術を融合させることにより、検査事業・創薬事業・創薬支援事業を展開している。
同技術は、共同研究の中で、東芝デジタルソリューションズと弊社の木村、西川をはじめとした多分野に跨る人材の深い協議と、多段階の技術開発により完成した。
同技術により、創薬可能な新規ターゲット領域を検出することで、創薬ターゲットの枯渇により有効な治療薬の創出が困難であるという課題の解決を克服し、人々の当たり前の健康が脅かされない世界を目指す。
◆月野浩東芝デジタルソリューションズ取締役常務のコメント
当社は、量子インスパイアード最適化技術の社会実装へ向けて、ユースケースの探索とパートナーシップを確立してきた。今回、Revorfとの戦略的提携を発表できることを大変嬉しく思う。Revorfの先進的なアロステリック創薬技術と当社の量子インスパイアード最適化ソリューションSQBM+を組み合わせることで、創薬プロセスの革新を目指す。
この協業により、より迅速かつ効果的な新薬の開発が可能となり、創薬分野における新たな価値を創出できると確信している。