オプジーボの国内承認から10年契機に医師・がん患者の現状評価調査実施 小野薬品・ブリストル・マイヤーズ スクイブ

医師・患者の約半数が今後の免疫チェックポイント阻害薬について「治療効果の向上」に期待

 小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブは24日、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)「オプジーボ」の国内承認によるがん免疫療法の誕生から10年の節目を迎えたことから、医師・がん患者を対象に実施した同療法の現状評価把握のための調査結果を発表した。同調査は、がん治療に携わる医師100人、がん患者 900人を対して、オンラインで行ったもの。
 その結果、調査対象となった医師の 9 割が「新たながん治療の選択肢」として ICI による治療を評価したほか、ICIによる治療経験のある患者の約 7 割が「治療選択肢が増える」「がん患者にもっと広く知られて欲しい」と 同治療を評価した。また、医師・患者ともに約半数が、今後の ICI について「治療効果の向上」に期待を寄せていることもわかった。
 一方で、がんの免疫療法と呼ばれる療法の中には、治療効果や安全性が科学的に証明されていない療法もある。がんの免疫療法についての情報が混在することで、治療を検討する患者が困惑してしまう可能性もあり、より広範かつ信頼性の高い医療情報を提供することの必要性も浮き彫りになった。
 今回の調査では、約 4 割の医師が「がん免疫療法と称する、エビデンスのない情報への厳格な監査・措置」「がん免疫療法と称するエビデンスのない医療行為への厳格な措置」が必要と回答し、「ICIに関してがん患者が正しく理解できる情報」を6割を超える患者が希望していることも明らかになった。
 調査概要及び医師・患者の主な調査結果は次の通り。
【調査概要】
◆調査実施期間:2024 年 6 月 21 日~6 月 28 日
◆調査対象:医師=ICI適応がん腫いずれかに関連する診療科で全身化学療法によるがん治療経験のある医師(病床数 200 床以上)100 名、患者=①20~70 代の ICI によるがん治療の経験者200名/②20~70代のICI適応のがん腫だが ICI での治療は未経験のがん患者 700 名
◆調査手法:オンライン調査

【医師調査結果の概要】
◆ 9割の医師が ICI を新たながん治療の選択肢として評価し、今後期待することとして約 5 割の医師が「治療効果の向上」と回答

 90%の医師が、「がん治療の選択肢として地位を築いた」、8 割以上が「さらなる発展を期待したい治療法である」「患者さんに正しく理解して欲しい治療法である」など、がん治療の新たな選択肢として ICI による治療を評価。 (参考データ集:医師調査 「①ICI への評価」)

・今後の ICI への具体的な期待として、約 50%の医師が「化学療法や放射線療法など他の治療法との併用で治療効果が向上すること」「効果が出る患者さんが増えること」と回答。 (参考データ集:医師調査「②ICI について今後期待すること」)

◆約4割の医師ががん免疫療法と称するエビデンスのない治療への措置が必要と回答。正しい理解のため、3割強の医師が「正しく理解できる」「広く知らしめる」情報提供を求めている

・がんの免疫療法と呼ばれる療法には、治療効果や安全性が科学的に証明されていない療法もある中で、約 40%の医師が「がん免疫療法と称する、エビデンスのない情報への厳格な監査・措置」「がん免疫療法と称する、エビデンスのない医療行為への厳格な措置」が必要だと思うと回答。(参考データ集:医師調査 「③ICI による治療のさらなる浸透のために必要だと思うこと」)

・また、30%以上の医師が「正しく理解できる」「広く知らしめる」患者さんへの情報提供だけでなく、患者以外の生活者にも認知を広げることを求めている

【患者調査結果の概要】
◆ICI使用経験のある患者の約7割が、自身の ICI 治療を評価
 ICI 使用経験のある患者からは「治療の選択肢が増えてうれしい」(68%)など、ICI 治療を評価するほか、「がん患者にもっと広く知られて欲しい」(68%)と他の患者にとっても新たな治療の選択肢になることを期待する声もあった。 (参考データ集:がん患者調査「①ICI への評価」)

◆患者の約半数が、今後のICIについて「治療効果の向上」や「生活の質の維持」に期待
 ICI 使用経験の有無にかかわらず ICI を認知している患者が「ICI に今後期待すること」は、「転移性のがんに対しても効果を発揮し、転移を制御または減少させること」(51%)「副作用が発生しても管理がしやすく生活の質を大きく損なわないこと」(51%)「効果が出る患者が増えること」(49%)など。(参考データ集:がん患者調査「③ICI について今後期待すること」)

◆がん免疫療法の詳細に関する認知割合は、ICI の使用経験の有無により 10 ポイント超の差。がん免疫療法と称する民間療法が多いことを知っているのは、20 ポイント超の差
 「がん免疫療法」を知っていると回答した患者でも、ICI の使用経験の有無によって「がん免疫療法は免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法だ(ICI 使用経験者 80%/ICI 未使用経験者64%)」「医学的に効果が認められているがん免疫療法は今やがんの一般的な治療法の1つとなっている」(同 73%/同 42%)と詳細認知に 10 ポイント以上の差があるだけでなく、「がん免疫療法と称するエビデンスのない民間療法も多い」(同 64%/48%)についてもICI使用未経験者で詳細認知割合が下回る。(参考データ集:がん患者調査「④がん免疫療法の認知に関する自己認
識」 「⑤がん免疫療法の詳細に関する認知状況」)

◆患者の半数以上が、ICIについて「がん患者が正しく・広く理解できる情報提供」を望む

 ICI 使用経験の有無にかかわらず ICI を認知している患者さんが「ICI の情報提供について今後期待すること」として、「ICI についてがん患者が正しく理解できるような情報提供」(61%)のほか、51%が「ICI についてがん患者が広く知ることができるような情報提供」「患者に限らず一般生活者がICIについて正しく理解できるような情報提供」を挙げた。

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