COPD増悪後1年間は心血管イベントによる入院・死亡リスク増加 日本で初めて確認 アストラゼネカ

 アストラゼネカは9日、日本で初めてCOPD増悪後1 年間は心血管イベントによる入院や死亡のリスクが増加することを確認したと発表した。
 日本の COPD 患者を対象にした EXAcerbations of COPD and their OutcomeS on CardioVascular diseases(EXACOS-CV)Japan研究において、リアルワールドデータを用い日本で初めてCOPDの増悪とその後の入院を伴う心血管イベントの関係を示したもの。同結果は、Advance in therapyに掲載された。
 同研究は、40歳以上の COPD患者におけるCOPD 増悪後の期間と死亡を含む重篤な心血管イベントの発生との関係を解析したデータベース研究である。同研究の解析から、COPD増悪後の入院を伴う心血管イベントのリスクは、増悪後 30日間でハザード比が1.44 (95%信頼区間 1.33-1.55)であり、増悪後365 日まで増加していた[ハザード比 1.13 (95%信頼区間 1.04-1.23)]。
 アストラゼネカは、COPD患者が早期受診、早期診断、および適切な治療を継続的に受けられるよう貢献し、COPD による死亡率の減少を目指す。

◆同研究Scientific Advisory Committeeメンバーの松永和人氏(山口大学大学院医学系研究科 呼吸器・感染症内科学講座 教授)のコメント
 これまでにもCOPD増悪と心血管イベントとの関連は報告されているが、高齢でやせ型であり、心血管イベントリスク因子が少ないと考えられている日本人のCOPD 患者さんにおいて、これらの関連性が当てはまるかは分かっていなかった。
 このEXACOS-CV Japan研究により、他国からの報告と同様にCOPD 増悪後の心血管イベントのリスクが増加したことが示された。この結果は、COPD 増悪後の心血管イベントの発生には注意深くモニタリングする必要があると同時に、COPD増悪を起こさせない適切な治療介入の必要性を強調するものになっている。
 呼吸器専門医だけでなく、COPD を診療する多くの先生方に対しても、よりよい診療につながる重要なエビデンスであると考えられる。

◆田中倫夫アストラゼネカの執行役員メディカル本部長のコメント
 日本の大規模な診療データベースを用いた今回の研究により、日本人においてもCOPD増悪は、肺だけでなく心臓にも影響を及ぼすことが示された。
 COPD患者さんの将来リスク低減のために、循環器疾患の日常診療においても積極的なCOPD診断が行われ、心肺リスクを考慮した治療がより浸透していくことを期待したいと思う。
 今後もアストラゼネカは COPD 領域において、適切な診断・治療によってCOPD患者さんの現状の改善及び将来リスクの低減に向けて、引き続きサイエンスを追求していく。

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