武田薬品は27日、希少肝疾患治療薬の回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬「マラリキシバット」について、アラジール症候群(ALGS)・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)の治療薬として、厚労省に製造販売承認申請を行ったと発表した。
ALGSは、小葉間胆管減少症を伴う稀な遺伝性疾患であり、胆汁うっ滞により、最終的には進行性の肝機能障害を引き起こす。ALGSの推定発症率は3万人に1人とされ、日本の全国調査では国内患者数は200~300人程度と推測されている。
肝臓、心臓、腎臓、中枢神経系など、複数の臓器に形成異常を認める場合があり、ALGS患者の60%から75%が成人に達する前に肝移植を行う必要があると報告されている。
ALGSの症状には、黄疸(皮膚の黄ばみ)、黄色腫(皮下組織へのコレステロールの異常沈着)、そう痒(かゆみ)などが挙げられる。ALGS患者が経験するそう痒は、慢性肝疾患の中でも最も重度のもので、大半は生後3年目までに発症する 。
今回の製造販売承認申請は、ALGSおよびPFICを対象として国内で行われたP3試験(TAK-625-3001、TAK-625-3002)、ならびに海外で行われた複数の臨床試験の結果に基づくもの。
マラリキシバットは、(Mirum社が開発した薬剤で、武田薬品は2021年9月に日本における独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結している。
同剤は、ALGS患者における胆汁うっ滞性のそう痒症を適応として、米国において、2021年9月に承認され、現在、生後3カ月以上の患者に投与可能である。また、同適応に対し、欧州を含む複数の国や地域で承認を取得している。さらに、5歳以上のPFIC患者における胆汁うっ滞性のそう痒症を適応として、米国において2024年3月に承認を取得。
欧州では、承認申請中であり、生後3カ月以上のPFIC患者に対する適応取得に対して、欧州医薬評価委員会(CHMP)より肯定的な見解が得られている。欧州委員会の決定は、2024年第3四半期までに下される予定である。