アンジェスは24日、閉塞性動脈硬化症HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」について、米国での後期P2試験の好結果を踏まえて従来の重度を対象とした条件付き期限付き承認を一旦取り下げ、重症度を問わず幅広く閉塞性動脈硬化症患者の潰瘍の治療を対象として新規申請を行うと発表した。
後期P2試験は、米国における下肢潰瘍を有する軽度から中等度の閉塞性動脈硬化症を対象としたもの。これに伴い、「コラテジェン」の対象患者層の拡大が見込める。
「コラテジェン」は、田辺三菱製薬が条件及び期限付き製造販売承認に基づき2019年9月から販売している。今回、アンジェスが条件及び期限付承認後に改めて行う製造承認申請を取り下げることに伴い、同品の承認期限が満了し、販売も終了となるため、現在市中にある製品を回収する。
アンジェスは、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」の国内における条件及び期限付き製造販売承認を2019年3月に取得し、2023年5月に条件解除に向けた製造販売承認申請を行った。
非盲検下で実施した市販後調査では、二重盲検の国内P3臨床審成績を再現できなかったため条件解除に向けた製造販売承認申請を一旦取り下げ、いずれも二重盲検の国内P3試験と米国後期P2試験の結果を中心に申請データパッケージを構築し、2024年末までに新たな製造販売承認の申請を行うべく準備を進めていく。
閉塞性動脈硬化症は世界中で2億人が罹患し、複雑な病態を示し、潰瘍、感染症、最終的には下肢切断など極めて重篤な合併症を引き起こす可能性がある。
南カリフォルニア大学医学部の David Armstrong教授らの報告によると、がんと比較した場合、下肢の大切断(足首より近位)後の 5 年死亡率57%で、肺がん 80%に次ぐものである。
このような予後の悪い閉塞性動脈硬化症に対して比較的初期段階から治療を開始することで、将来の患者のQOLの低下を防ぐ効果を期待でき、グローバルにコンセンサスが得られている治療ガイドラインでも推奨している。
なお、米国における後期P2試験結果の詳細については、現在分析中のため分析終了後に改めて告知する。
今回の HGF 遺伝子治療用製品「コラテジェン」の米国での臨床試験の結果及び国内の承認申請の取り下げに伴うアンジェスの2024年の連結業績への影響は、同製品の売上高(前年度実績2300万円)の減少と、製品回収、新規申請に関する費用の支出となるが、詳細は精査中である。今後、当該事象に関する費用等の目途が立てば速やかに開示する。