肥満治療薬「S-309309」の開発ライセンス活動再開を改めて強調 手代木功塩野義製薬会長兼社長CEO

鎮咳薬不足は後発品メーカーを含めた業界全体で対処を

 塩野義製薬の手代木功会長兼社長CEOは20日、大阪市内で開催された第159回定時株主総会で肥満治療薬「S-309309」について言及。「単剤開発の可否判断基準として設定していたベースラインからの体重減少率(群平均)は5%を超えなかったが、新たな作用機序による体重減少効果が確認できた」とP2試験の成果を改めて強調し、「GLP-1作動薬等との併用も視野に入れたS-309309開発のためのライセンス活動を再開している」と報告した。
 医療現場での鎮咳薬「メジコン」の供給不足解消については、「後発品不足の影響でメジコンの需要が高まっている。厚労省の要請を受けて増産体制を強化している」と説明した。
 手代木氏は、「S-309309」のP2試験で体重減少率が5%を超えなかったことに起因する株価下落について、「6月7日に開催したSHIONOGI R&D Day 2024(投資家向け説明会)において、提供し得る情報を可能な限り出した。我々は、S-309309が株式市場から注目されているものと認識している。株価が一時的に下がって、株主の皆さんにご心配をおかけしていることに対しては、忸怩たる思いである」と明言。
 その上で、「P2試験では、新たな作用機序による体重減少効果が確認され、GLP-1作動薬等との併用も視野に入れたS-309309開発のためのライセンス活動を再開している」と説明した。
 さらに、「 SHIONOGI R&D Day 2024 では、S-309309以外にも睡眠時無呼吸症候群治療薬(S-600918 +併用薬X)や難聴治療薬の取り組みなどを紹介し、投資家の皆さんより高い評価を得ている。多くの成長ドライバーを創製・育成してSTS2030Revisionを達成したい」と訴えかけた。
 一方、医療現場における「メジコン」供給不足を解消するため、塩野義製薬では、他剤の生産ラインをメジコンに充てるなどの施策を講じている。場合によっては、新たな生産ラインの設備投資も視野に入れている。
 とはいえ、鎮咳薬分野におけるメジコンのこれまでのシェアは10%弱で、2.5倍に生産キャパシティを引き上げたとしても全体の25%に満たない。医療現場における鎮咳薬の供給不足は、後発品の供給不安定によるところが大きいのが現状だ。
 こうした状況を踏まえて手代木氏は、「我々の会社でできる最大限の努力をするが、後発品メーカーを含めた業界全体で対処していかねばならない」との考えを示した。
 

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