小野薬品は5日、オプジーボとヤーボイの併用療法について、進行肝細胞がん患者のファーストライン治療薬としてソラフェニブまたはレンバチニブと比較評価したP3相CheckMate -9DW試験において同併用療法が全生存期間を有意に改善したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が4日に公表したもの。
同試験の結果は、2024 年ASCO年次総会において、4日、late-breaking演題で口頭発表される。中央値約35.2カ月の追跡調査において、オプジーボとヤーボイの併用療法は次の結果を示した。
◆主要評価項目である全生存期間(OS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。OSの中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で23.7カ月(95% 信頼区間 [CI]: 18.8 – 29.4)、レンバチニブまたはソラフェニブでは20.6カ月(95% CI: 17.5 – 22.5)であった(ハザード比 [HR] : 0.79(0.65 – 0.96); p=0.018)。このOSのベネフィットは、患者のサブグループ全体で概ね一貫していた。
主要な副次評価項目である奏効率(ORR)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。オプジーボとヤーボイの併用療法群で36%(95% CI: 31 – 42)、レンバチニブまたはソラフェニブでは13%(95% CI: 10 – 17)であった。
完全奏効(CR)率は、レンバチニブまたはソラフェニブの2%と比較して、オプジーボとヤーボイの併用療法群で7%とより高い結果であった。奏効は持続的であり、奏効がみられた患者における奏効期間の中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で30.4カ月(95% CI: 21.2 – NE)、レンバチニブまたはソラフェニブで12.9カ月(95% CI: 10.2 – 31.2)であった。
オプジーボとヤーボイの併用療法は、レンバチニブまたはソラフェニブと比較して、有意に症状悪化リスクを24%低減した(HR: 0.76; 95% CI: 0.62 – 0.93、p = 0.0059)。
オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されたデータと一貫しており、確立されたプロトコルによって管理可能であった。グレードにかかわらず、治療に関連する有害事象(TRAE)は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で84%、レンバチニブまたはソラフェニブで91%の患者に報告された。グレード3~4のTRAEは、各々41%と42%の患者に発現した。
◆Peter R. Galle氏(マインツ大学医療センターM.D.)のコメント
近年、HCC治療は進展しているものの、進行期のHCCの患者さんの予後は今もなお不良であり、生存期間を改善し、病気の進行を遅らせる治療法が必要とされている。
CheckMate -9DWのデータは、オプジーボとヤーボイの併用療法の有効性と生存期間の延長効果を確認するものであり、大きな励みになる結果となっている。
◆Dana Walker BMSバイスプレジデント兼消化器・泌尿生殖器がん領域グローバルプログラム責任者(M.D., M.S.C.E.)のコメント
オプジーボとヤーボイの併用療法は、進行期のHCCの患者さんのセカンドライン治療法として確立されているが、今回の結果により、オプジーボとヤーボイの併用療法が、病勢が進行している患者さんのファーストライン治療において、生存期間およびその他の重要な有効性指標を有意に向上させることを示すことが可能である。
これらのデータについて規制当局と協議し、オプジーボとヤーボイの免疫療法薬2剤による併用療法をより多くの患者さんに提供できるよう取組んでいく。