MSDは17日、抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ」と化学療法の併用療法について、再発の胃がんおよび治癒切除不能な胆道がんに対する適応追加承認を取得したと発表した。
胃がんは日本で3番目に多いがんで、がんの死因でも第3位となっている。2020年には約11万人が新たに胃がんと診断され、2022年には約4.1万人が亡くなっている。
胃がんは初期症状がほとんどなく、長年にわたりゆっくり進行することが多いため、進行してから発見されることも少なくない。IV期の胃がんと診断された患者さんの5年生存率は6.3%であり、新たな治療法の開発が喫緊に求められていた。
今回の承認は、化学療法歴のないHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者1579例(日本人101例を含む)を対象とした国際共同P3試験KEYNOTE-859試験や、KEYNOTE-062試験および KEYNOTE-659試験の結果に基づくもの。
KEYNOTE-859試験において、キイトルーダと化学療法(フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤)の併用療法は、プラセボと化学療法の併用療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)について統計学的に有意で臨床的に意味のある延長(HR=0.78 [95% CI, 0.70-0.87]; p<0.0001)が示された。
また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)についても、統計学的に有意で臨床的に意味のある延長が認められた。
安全性については、安全性解析対象例785例中751例(95.7%)(日本人48例中48例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、悪心325例(41.4%)、下痢252例(32.1%)、貧血243例(31.0%)、嘔吐215例(27.4%)、血小板数減少196例(25.0%)、好中球数減少193例(24.6%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群189例(24.1%)、食欲減退168例(21.4%)および疲労157例(20.0%)であった。
一方、胆道がん(胆管がんや胆のうがんなど、胆道にできるがんの総称)は、日本では決して珍しいがんではなく、2020年には約2.1万人が新たに胆道がんと診断されている。胆道がんは50〜70歳で診断されるケースが最も多く、初期では自覚症状は少なく、ある程度進行した段階で、皮膚や白目が黄色くなる(閉塞性黄疸)、腹痛、皮膚のかゆみなどの症状がみられる。
予後は極めて不良で、IV期と診断された患者さんの5年生存率は肝内胆管がんで6.0%、胆のうがんで2.1%と報告されている。
今回の承認は、化学療法歴のない治癒切除不能な胆道がん患者1069例(日本人102例を含む)を対象とした、国際共同P3試験であるKEYNOTE-966試験等の結果に基づいている。
同試験において、キイトルーダと化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用療法は、プラセボと化学療法の併用療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)の有意で臨床的に意味のある延長(HR=0.83 [95% CI, 0.72-0.95]; p=0.0034)が示された。
安全性については、安全性解析対象例529例中493例(93.2%)(日本人58例中55例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、好中球数減少321例(60.7%)、貧血278例(52.6%)、血小板数減少199例(37.6%)、悪心195例(36.9%)、疲労154例(29.1%)および白血球数減少139例(26.3%)であった。