ゾコーバ・ゾフルーザ、HIV事業が堅調に伸長 売上収益、営業利益で2期連続過去最高更新 塩野義製薬決算

 塩野義製薬の2024年3月期決算は、売上収益4350万8100万円(対前年比2.0%増)、営業利益1533億3100万円(2.9%増)、税引前利益1982億8300万円(10%減)、親会社の所属者に帰属する当期利益1620億3000万円(12.4%減)となった。
 国内でのゾコーバ(新型コロナ経口治療薬)・ゾフルーザ(インフルエンザ治療薬)の販売とHIV事業の安定した収益基盤の成長が寄与し、売上収益および営業利益で2期連続過去最高を更新した。税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年減益となったが、前期に発生したViiV社からの一過的な配当金の増加を除けば対前年増益を継続している。
 2023年度は、国内事業、ロイヤリティ収入、海外事業のトップラインにおいて、国内事業ではゾコーバ、ゾフルーザを中心に自社販売の拡大を実現し、一過的な要因(日本政府によるゾコーバ買い上げ1000億円)を除く国内事業の収益は対前年464億円増の1511億円となった。
 ロイヤリティー収入は、HIVフランチャイズの経口2剤レジメンDovato(ドルテグラビルおよびラミブジン配合剤)とLA(長時間作用型)製剤の飛躍的な伸長によってヴィーブ社が堅調に事業成長し、対前年257億円増の2004億円となった。
 海外事業は、セフィデロコルが堅調に進捗により、欧米事業を中心にした成長し、対前年74億円増の499億円となった。
 利益面では、トップラインに応じた柔軟なコストマネジメントを展開し、特別早期退職プログラムの実施zatolmilastのアルツハイマー型認知症での開発計画の見直しに伴う減損などの一過的な費用を計上したものの営業利益の増益を達成した。2023年度の研究開発費は1026億円(0.2%増)で、成長ドライバーの確立に向けた積極的な投資を実施した。2023年度の年間配当は25円増配の160円を予定している。
 2025年3月期の連結業績予想は、売上収益4550億円(4.6%増)、営業利益1600億円(4.4%増)、税引前利益2000億円(0.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1630億円(0.6%増)。年間配当は10円増配の170円を予定している。
 国内でのゾコーバ・ゾフルーザの販売拡大、セフィデロコルの販売国拡大とさらなる伸長、HIV事業の持続的な成長などにより、売上収益、営業利益で3期連続過去最高の更新を目指す。
 加えて2024年度は、STS2030達成に向けた投資を加速し、欧米での自社製品の本格拡大に向けた販売体制の構築、グローバル自社開発品の進展に向けた積極投資、コーポレート機能のグローバル化とDX推進を実施する。
  

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