武田薬品の2024年3月期連結業績は、売上収益4兆2637億6200万円(前期比5.9%増)、営業利益2140億7500万円(56.4%減)、税引き前利益527億9100万円(85.9%減)、当期利益1441億9700万円(54.5%減)となった。
売上収益は、成長製品・新製品が牽引した。トップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンタイビオ」は8009億円(対前年比14.0%増)となった。同品の米国での売上高は5461億円(11.0%増)。
利益面では、製品に係る無形資産償却費及び減損損失が6521億円(20.2%増)となった。この増加は主に、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失の増加、円安による為替影響に伴う無形資産償却費の増加によるもの。ビバンセ(ADHD治療薬)への後発品参入や、長期的な競争力を強化するための研究開発及びデータ・デジタル&テクノロジーへの戦略的投資が利益を圧迫した。2023年度の研究開発費は、7299億円(15.3%増)。増加要因は主には、パイプラインへの研究開発投資および円安による為替影響等が挙げられる。
年間配当金は、累計配信の方針と長期的な成長見通しおよびキャッシュフロー創出に対する自信に基づき、1株当たり188円から196円とする2年連続での増配を予定している。
2025年3月期業績予想は、売上収益4兆3500億円(2.0%増)、営業利益2250億円(5.1%増)、税引前利益550億円(4.2%増)を見込んでいる。
2025年度から持続可能な売上成長に回帰 クリストフ・ウェバー 社長CEO
9日にWEB開催された2024年3月期決算説明会でクリストフ・ウェバー武田薬品代表取締役社長CEOは、「2023年度は、上手く管理運営はしたものの難しい年であった。ビバンセへの後発品参入の大きな逆風があったが、トップラインの業績はマネジメントガイダンスを上回った」と振り返った。
2024年度は、「ビバンセへの後発品による大きな逆風の最後の年になる」見込みを示し、「エンタイビオをはじめとする成長製品・新製品の拡大がカバーして微増収となる」
さらに、ウェバー氏は、「ビバンセの後は2030年代始めまで大きな後発品の影響はない」と言い切った。実際、今後7年間の後発品のトータルの影響は、23年度、24年度の2年間のビバンセの影響を下回る見通しで、「成長製品新製品が24年度CRベースで引き続き二桁成長率を予想している」と強調。その上で、「2025年度から持続可能な売上成長に回帰できると確信している」と訴求した。