ドローン輸送サービスの社会実装に向けた安全な授受・省人化の実現目指して
メディセオは27日、KDDI、KDDI スマートドローン、日本航空（JAL）、JR東日本、ウェザーニューズと2 月13日から22日まで、東京都江東区でドローンポートを活用した医薬品授受管理の実証を実施したと発表した。
同実証は、東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」に基づき、都内におけるドローン物流サービスの早期の社会実装を目指すもの。2023年度は、昨年 12 月に実施した日本初となるレベル４飛行での医薬品配送に続き、同実証ではドローンポートを用いて、輸送された医薬品の安全な授受と、授受管理の省人化に向け、検証を行った。2023年度コンソーシアム各社の役割は、次の通り。
◆KDDI：プロジェクト全体取りまとめ
◆KDDIスマートドローン：スマートドローンプラットフォームの提供、レベル４飛行における機体運航業務
◆日本航空：ドローン物流ビジネスの策定・評価検証、ドローンポートの運用検証業務
◆JR東日本：ドローン物流ビジネスの将来的な実装場所にかかる検討支援
◆ウェザーニューズ：安全運航のための気象データ提供および助言
◆メディセオ：ドローンを利用した医薬品配送手順の策定および検証
ドローン物流サービスの社会実装に向け、ドローンポートの有効性および業務フローの検証を、本年2月13日から22日に実施した。ドローンによる物資輸送サービスが社会で広く利用されるためには、ドローンの安全運航の他、配送物の安全かつ確実な授受と、授受管理の省人化による利便性向上などの実現が必要である。
これまでの実証ではドローンが着陸する際の安全管理や、配送物の受け取りなどの人員を配置する必要があった。そのため、同実証では、荷物の格納が可能なドローンポートを用いた離着陸場所を医療機関に隣接した場所に構築し、ドローンによる医薬品輸送サービスに求められる離着陸時の安全確保や、配送物の授受管理の利便性について検証を行った。
ドローンポートの運用フロー
実証期間中、後藤一美東京都病院薬剤師会会長（聖路加国際病院）、柏原氏（昭和大学江東豊洲病院）山口氏（がん研有明病院）、勝田氏（東京臨海病院）をはじめとした病院関係者約 40 名が、ドローンポートを用いた医薬品輸送を体験した。
多くの体験者からは、「ドローンポートを省スペース化し、病院の屋上など院内に設置してほしい」というコメントがあった。また、後藤氏は、「医薬品を受け取るだけではなく、病院からの発送も可能になれば、薬の返品もできるのに加え、緊急時の病院間での医薬品の融通も期待できる」、「ドローンポートを利用し夜間にも医薬品の配送が可能になれば、病院および医薬品卸会社の双方で人員が少ない時間帯の省人化につながる」など、将来の医薬品物流の進展にますます期待が高るコメントを出している。
社会実装に向けては、設置場所に適したサイズのドローンポートが求められており、ドローンポートとドローン間のシステム連携の必要性、高精度な着陸やより多くのペイロードを運搬できるドローンが求められていることなどの課題・期待が把握された。
今後、同実証で把握した課題・ニーズを汲み取り、将来の都内における医薬品輸送サービスの実現を目標にしている。
同実証およびこれまでに実施した医薬品輸送検証を通じて把握した、技術面や運用面、ビジネス面の課題への対応策を引き続き検討し、ドローンによる医療物資輸送サービスに必要な安全運航体制やビジネスモデルの確立を目指す。
また、2024年度には都心部でのレベル4飛行を見据えた長期的なドローンのサービス実証を行う予定である。将来的には、ドローンを活用したまちづくりの実現に向け、物流をはじめとする多様なサービスの展開を目指し、実証を進めていく。
