ベクティビックスのP3試験付随バイオマーカー研究成果がNature Medicineに掲載 武田薬品

 武田薬品は13日、ベクティビックス(一般名パニツムマブ)の切除不能進行再発大腸がんの初回薬物療法に関する国内P3試験(PARADIGM試験)に付随するバイオマーカー研究に関する論文が、12日(米国時間)に生物医学ジャーナル誌「Nature Medicine」に掲載されたと発表した。
 同論文では、PARADIGM試験に参加された患者から、治療開始前に採取した血液を用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を解析し、治療効果との関連を検討した研究成果がまとめられている。
 同研究の結果、抗EGFR抗体薬の治療耐性との関連が報告されている10個の遺伝子異常(KRAS、NRAS、BRAF(V600E)、PTEN及びEGFR細胞外ドメインの変異、HER2及びMET増幅並びにALK、RET及びNTRK1融合)を認めない集団において、mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法群と比較してmFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法群で、原発巣の占拠部位に関わらず全生存期間の延長を認めた(パニツムマブ併用療法群:40.7か月、ベバシズマブ併用療法群:34.4か月、HR:0.76(95% CI: 0.62-0.92))。
 なお、同研究におけるパニツムマブ投与時の安全性プロファイルはこれまでに公表された臨床試験結果と同様の内容であった。
 PARADIGM試験における主解析では、RAS遺伝子野生型で原発巣占拠部位が左側の集団において、ベバシズマブ併用療法群に対するパニツムマブ併用療法群の統計学的に有意な全生存期間の延長が認められており、原発巣占拠部位による治療選択が現在の標準治療として国内外の大腸癌治療ガイドラインで推奨されている。
 同研究の結果は、原発巣占拠部位による治療選択と比較して、患者さんの血液を用いた血中循環腫瘍DNAの解析は、パニツムマブの治療による利益が得られる可能性がより高い患者さんの特定に繋がる可能性を示唆した。

◆同論文筆頭著者の設楽 紘平国立がん研究センター東病院消化管内科長のコメント
 PARADIGM試験に付随する本研究の結果は、大腸がんの個別化治療の進展に貢献できる大変意義のあるものであり、このたび、世界でもきわめて重要な最先端研究に特化した雑誌であるNature medicineに掲載されたことを嬉しく思う。
 本研究成果が、臨床に応用され、ひとりでも多くの患者さんのより良い治療結果に結び付くことを心から願っている。

◆内田智武田薬品日本オンコロジー事業部長のコメント
 今後もさらに、パニツムマブをはじめとする抗EGFR抗体薬が大腸がんの治療において重要な選択肢の一つとして役立つことを願っている。引き続き、当社は大腸がん患者の皆さまに貢献できるよう努めていく。

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