SGLT2 阻害剤「ジャディアンス」 慢性腎臓病に対する適応追加を国内で得取得 日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは9日、SGLT2 阻害剤「ジャディアンス」について、慢性腎臓病(CKD)に対する適応委追加を厚労省より取得したと発表した。今回の承認により同剤は、2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病の3つの適応症を有することになった。
 CKDは、腎障害を示す所見や腎機能の低下が慢性的に持続する疾患である。死亡や心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管疾患のリスクファクターであり、進行すると末期腎不全に至り、透析療法や腎移植術が必要となる。慢性腎臓病の治療目的は、腎機能の低下を抑え末期腎不全への進行を遅延し、心血管疾患の発症を予防することにある。
 今回の適応追加は、慢性腎臓病患者におけるSGLT2阻害剤の臨床試験としては大規模・広範囲の臨床試験であり、糖尿病の有無やアルブミン尿の有無を問わず、日常診療で良く見られる 6609 名(うち日本人612名)の CKD患者を対象としたP3試験(EMPA-KIDNEY)のデータから得られた結果に基づくもの。
 同試験では、エンパグリフロジンの投与により、主要評価項目である慢性腎臓病の進行または心血管死のリスクがプラセボ投与群に比べて 28%低下し、統計学的有意差が認められた (HR; 0.72; 95% CI 0.64 to 0.82; P<0.000001)。
 また、慢性腎臓病患者を対象としたSGLT2 阻害剤の臨床試験としては初めて、試験計画書で事前規定された主な検証的副次評価項目の1つであるすべての入院を有意に減少(14%)した試験となった(HR; 0.86; 95% CI 0.78 to 0.95; p=0.0025 )。
 同試験における重篤な有害事象の発現割合は、プラセボ投与群で 35.3%、エンパグリフロジン群で 32.9%であった。
 慢性腎臓病患者に新たな治療選択肢を提供し、より幅広い慢性腎臓病患者の治療に貢献できるものと考えられる。

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