シャイアー社が受領買収違約金税務紛争 アイルランド歳入庁と和解 武田薬品

 武田薬品は18日、17日(アイルランド現地時間)にシャイアー社が2014年10月にAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と1億3000万ユーロ(約200億円)で和解する契約を締結したと発表した。これにより、同社は約630億円の税金費用を減額する。
 シャイアー社は、2018年11月28日、2014年に同社がAbbVie社からの買収の申し出の取下げに関する違約金として受領した16億3500万米ドルに関して、アイルランド歳入庁から3億9800万ユーロの課税に関する通知を受領した。武田薬品は、同件に関して異議申し立てを行い、2020年の年末にアイルランド税務不服審査委員会においてヒアリングが行われた。
 武田薬品は、2021年7月30日、アイルランド税務不服審査委員会からアイルランド歳入庁の見解を支持する裁定を受けた。同社は同裁定について異議を申し立て、AbbVie社からの違約金がアイルランドにおける課税対象でないことの主張を継続する予定であったが、2021年度第1四半期において、同件に関する税金費用を引当計上した。
 その後、2023年にアイルランド税務不服審査委員会は再度ヒアリングを開始したが、同和解に至った時点で当該ヒアリングは継続中であった。
 アイルランド歳入庁との本和解契約に基づき、武田薬品は同違約金の受領に関するすべての債務の完全かつ最終的な解決として、利息を含み罰金を含まない金額である1億3000万ユーロをアイルランド歳入庁に支払う。
 これにより、武田薬品は、未払法人所得税のうち、1億3000万ユーロの和解金を超える部分を振り戻し、2023年度第2四半期の連結財務諸表から約630億円の税金費用を減額する。
 なお、和解による当該税金費用を減額は、武田薬品の本業に起因しない非定常的な事象に基づくもので、同社のCore業績に対する影響ない。1億3000万ユーロの和解金は、2023年度第3四半期にアイルランド歳入庁に支払う予定である。
 2024年3月期(2023年度)通期の連結業績予想については、これらの当該税金費用を減額に加え、現在の事業環境や事業の進捗、見通しなどを考慮し、必要に応じて適切に見直していく。連結業績予想を修正する場合は、26日に予定している2023年度第2四半期の決算発表時に公表する予定。

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