「マラリア」研究成果と取り組みをNature Outlook Malaria特集で紹介 塩野義製薬

 塩野義製薬は16日、最新の「マラリア」研究に関する記事が、国際的な総合科学雑誌Nature (2023年6月29日号)のNature Outlook Malaria特集(https://www.nature.com/articles/d42473-023-00092-x)に掲出されたと発表した。(日本語翻訳サイトhttps://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science319.html)
 Nature Outlookは、Nature誌の編集陣が重要な科学のテーマを取り上げ、第一線の科学ジャーナリストやアカデミア、企業の専門家などの執筆による書下ろしの記事や、その分野の進展を裏付けるNature関連学術論文とともに紹介する特集だ。
 今回の特集は、”Know your enemy: The path to malaria elimination”と題した記事広告の中で、金子修教授(熱帯医学研究所)のマラリア原虫の赤血球への侵入機構の解明、北潔教授(熱帯医学・グローバルヘルス研究科)の抗マラリア薬の開発、皆川昇教授(熱帯医学研究所)の新しいタイプの蚊帳によるマラリアの克服への取り組みを紹介している。 さらに、塩野義製薬との共同研究の中でワクチン開発に取り組む大本真也氏(塩野義製薬、博士)と水上修作氏(熱帯医学研究所、博士)が、その難しさと必要性を踏まえて挑戦する意義を産学連携の立場から語っている。
 マラリアは、エイズ、結核と並ぶ世界三大感染症の一つ。主に熱帯、亜熱帯地域を流行地とし、マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する。
 年間の感染者数は世界で約2.5億人、死亡者数は約62万人と報告されており、予防ワクチンの有効性が十分ではなく、さらに既存の治療薬に耐性を示す原虫が増加してきていることなどから、人類の脅威として世界的に深刻な問題となっている感染症である。
 長崎大学と塩野義製薬は、これまでも連携協定を結ぶなど、マラリアの予防および治療に関する研究を共に進めてきた。
 また、長崎大学は1942年より本格的に感染症研究を開始し、今では、日本で他の追随を許さない研究の質と量を誇る感染症の教育研究拠点となっている。その結果、2023年に入ってからだけでも、マラリア治療薬の研究として、「マラリア原虫とヒトの概日リズムの同調メカニズムを発見」、「マラリア創薬に向けた革新的ツールとなる遺伝子改変原虫を創出」、「ナノ粒子を用いたmRNA型ワクチンのマウスモデルでの実証実験に世界で初めて成功(マラリア感染早期の肝臓での原虫増殖防止)」などの成果を上げている。

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