自社生産のモリブデン-99の試製造開始 日本メジフィジックス

 日本メジフィジックスは21日、放射性医薬品であるテクネチウム-99m(99mTc)製剤の主原料となるモリブデン-99(99Mo)の自社内での試製造を開始したと発表した。
 99mTc 製剤は、核医学検査において最も利用件数が多い放射性医薬品で、循環器の疾患や腫瘍の骨転移などの診断に用いられている。
 現在、日本ではその主原料である 99Mo の調達を100%輸入に依存しており、必要な量の 99Mo を輸入できない事態がしばしば発生している。その結果、99mTc 製剤の安定供給に影響を及ぼすことから、国としても本件を課題と捉え、解決に向けて取り組みを進めている3。
 日本メジフィジックスは、99mTc 製剤のさらなる安定供給のために、99Mo を自社生産するプロジェクトを 2019 年に開始した。同プロジェクトでは、従来の原子炉とウランを用いた製造法ではなく、電子ライナックを用いて99Moを商業生産する。
 電子ライナックを用いた製造法では、安定同位体である原料(モリブデン-100)に電子ビームを照射し、光核反応を利用して99Moを得ることがでる。
 今回、同社千葉工場内に約13億円を投資して設置した電子ライナックのビーム照射準備が整ったので、99Moの試製造を開始した。
 今後は、自社生産の99Moを使って当社製剤を製造するためのデータ取りを行いながら、2025 年度の商業
生産開始を目指す。生産開始当初の必要量に対する自社生産の比率は20~30%程度の見込みだが、将来の生産拡大を見据えて技術改良を継続していく予定だ。 日本メジフィジックスは、99Mo 調達の安定性を向上させ、製薬企業の重要な使命である医薬品の安定供給に努めていく。

タイトルとURLをコピーしました