タグリッソと化学療法併用療法 肺がんのP3相試験で無増悪生存期間を9カ月近く改善 アストラゼネカ

 アストラゼネカは20日、タグリッソと化学療法の併用療法について、EGFR遺伝子変異陽性局所進行または転移性肺がんを対象としたP3試験(FLAURA2試験)において無増悪生存期間を 9 カ月近く改善したと発表した。
 また、同併用療法は、ファーストラインとして標準治療であるタグリッソ単剤療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを 38%減少させた。
 局所進行(IIIB~IIIC 期)または転移性(IV 期)上皮成長因子受容体変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象にした同試験において、タグリッソと化学療法との併用療法は、タグリッソ単剤療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
 これらの結果は、9 月 11 日に、2023 年国際肺癌学会(IASLC)の世界肺がん会議(WCLC)で発表された。
 同試験では、タグリッソと化学療法との併用療法が、タグリッソ単剤療法と比較して、治験担当医師による評価では病勢進行または死亡リスクを38%低下させ(ハザード比[HR]0.62;95%信頼区間[CI]0.49-0.79; p<0.0001)、PFS 中央値を 8.8 カ月延長した。
 盲検下での独立中央判定(BICR)によるPFSはこの結果と一貫しており、タグリッソと化学療法との併用療法でPFS中央値を 9.5 カ月延長することが示された([HR]0.62; 95% CI 0.48~0.80; p=0.0002)。
 さらに、性別、人種、EGFR 遺伝子変異の種類、診断時の年齢、喫煙歴およびベースライン時の中枢神経系(CNS)転移の状態など、事前に規定したすべてのサブグループで臨床的に意義のあるPFSの有益性が認められた。
 今回の解析時点での全生存期間(OS)のデータは、イベント数が不十分ではあったものの、タグリッソと化学療法の併用療法では良好な傾向が観察された。
 有害事象(AE)による安全性結果及び中止率は、それぞれの医薬品の確立されたプロファイルと一貫していた。
 グレード3以上のAE は、タグリッソと化学療法併用群の患者の64%に発生したのに対し、タグリッソ単剤療法群では 27%であった。

◆ PasiA.Jänne FLAURA2試験治験責任医師(Dana-Farber Cancer Institute 腫瘍内科医、医学博士)のコメント
 EGFRm NSCLC の標準治療であるタグリッソに化学療法を追加したことで、EGFRm NSCLC 患者さんの病勢進行が認められるまでの期間が9カ月近く延長した。これはすでにタグリッソ単剤療法で得られている有効性に基づく結果である。
 今回発表された確信的なデータにより、局所進行または転移性EGFRm NSCLC に対してタグリッソをベースとした2つの有効な治療選択肢として、タグリッソ単剤療法とタグリッソと化学療法の併用療法がまもなく利用できるようになる可能性がある。

◆SusanGalbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 FLAURA2の説得力のある結果は、EGFRm NSCLC治療における標準治療としてのタグリッソを支持する広範なエビデンスを追加し、局所進行または転移性 EGFRm NSCLC における無増悪生存期間の新たなベンチマークを確立するものである。
 我々は、進行肺がん患者さん、特に診断時に中枢神経系転移を有する患者さんを含むアンメットニーズが最も高い患者さんに対して、病勢進行を更に遅延させるために、この病勢進行を更に遅延させる可能性がある治療レジメンを提供できることを期待している。

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