エーザイとメルクは28日、レンビマとキイトルーダの併用療法について、PD-L1陽性の再発または転移性頭頸部扁平上皮がんの一次治療を対象に実施しているP3試験(LEAP-010試験)を中止すると発表した。同試験中止は、2回目の中間解析において、同併用療法が、「キイトルーダ」単剤療法(プラセボ+「キイトルーダ」)に対して主要評価項目の一つであるOSの改善を示されなかったため。
LEAP-010試験の主要評価項目は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)で、独立データモニタリング委員会により11カ月間に2回の中間解析が行われた。
1回目の中間解析で同併用療法は、PFSおよびORRについて、「キイトルーダ」単剤療法(プラセボ+「キイトルーダ」)に対して、統計学的に有意な改善を示した。
2回目の中間解析において、同併用療法は、「キイトルーダ」単剤療法(プラセボ+「キイトルーダ」)に対しOSの改善を示さず、両社は、プロトコルで指定されたOSの統計学的有意性の閾値に達する可能性は低いと判断した。
これらの結果に基づき、両社は、同試験の中止を決定し、治験責任医師への伝達を開始した。
同併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているデータと同様であった。現在、同試験データに関する事前に計画された部分集団解析を含むすべての評価を進めており、同試験の結果については治験責任医師と協力し、サイエンティフィックコミュニティに共有する予定である。
同併用療法は、日本、米国、欧州をはじめとする世界各国において進行性腎細胞がんおよび進行性子宮内膜がん(日本においては子宮体がん)に係る適応で承認を取得している。レンビマは、欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx」の製品名で発売している。
両社は、LEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを通じて、同併用療法の子宮内膜がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、胃がん、食道がんを含む様々ながん種における複数の臨床試験を実施している。
キイトルーダは、日本、米国、欧州、中国を含む世界各国で、転移性または切除不能な再発頭頸部扁平上皮がん患者様に対する単剤療法および併用療法として承認されている。
なお、今回のLEAP-010試験の結果は、同併用療法の現在承認されている適応症、ならびにプラチナ療法と免疫療法後に増悪した再発または転移性頭頸部扁平上皮がんを対象として本併用療法と化学療法を比較するLEAP-009試験を含め、他の進行中のLEAP臨床プログラムの試験に影響を与えるものではない。
◆Gregory Lubinieckiメルク研究開発本部グローバル臨床開発バイスプレジデント(博士)のコメント
LEAP-010試験は、本併用療法が、転移性、または切除不能再発頭頸部扁平上皮がんにおいて、すでに確立された治療選択肢であるキイトルーダをベースとした治療レジメンをさらに改善できるかどうかを検討することを目的としている。
本試験において、本併用療法は無増悪生存期間について期待される結果を示しましたが、残念ながら、患者さんの全生存期間の延長にはつながらなかった。
我々は、本試験から得られた知見を、本併用療法のさらなる研究のために活用していく。
◆Corina Dutcusエーザイオンコロジーグローバル臨床開発シニアバイスプレジデント(M.D.)のコメント
早期段階の中間解析において、レンビマとキイトルーダの併用療法が、2つの主要評価項目を達成していることに勇気づけられていたが、残念なことに、3つめの主要評価項目である全生存期間については統計学的有意性の基準を満たさなかった。
我々の臨床プログラムは、治療が困難な進行がんへの取り組みを加速するように設計されており、それらの結果が常に我々の期待通りになるとは限らないが、我々は臨床開発の難しさを理解し、今後も患者様によりよい治療法を提供するための科学的探求に取り組んでいく。